「絵には何が描かれているのか」を読んで

この本は、絵を描くための基本原理を、例をふんだんに使って述べています。色、形、空間、大きさ、それらは、どういうことを伝えているのか。それらは、見る人にどういう感情を起こさせるのか。それを、著者の試行錯誤を辿る形で、説明をしているので、その過程を自分でも試しつつ、「なるほど、この色は、こういうことを伝えているのか」と、納得しながら、楽しみながら、読み進めることができます。絵を幾何学的な要素にまで削ぎ落として、説明をしているので、「絵の働き」が、非常に分かりやすくなっています。

一枚の絵を見たときに、それをどう解釈するのか。絵の中の要素が、見る人に対し、どのように心理的に働きかけるのか。そのことを丁寧に説明しているので、絵を描く人は、もちろん、絵を見る人にとっても、面白い内容でした。絵を見たときに、純粋に、自分の中で感じたことを咀嚼し、楽しみつつ、本書で述べられている基本原則を参照にし、この絵を描いた人は、「こういうイメージを持っていたのかな」と思えるようになるのかな、と思いました。

「赤ずきんちゃん」を、幾何学的な図形で解釈をする、という前半部分は、ただの三角形と長方形だけで描かれているにも関わらず、赤ずきんちゃんの身に起こることを予感させる、という実例を、どのように構成していくのか、ということが述べられています。この部分は、デザインの基本原則が、いかに大切か、ということを雄弁に語っているな、と思いました。

本書で述べられているイメージとデザインの基本原則は、絵に限らず、プレゼンテーションであったり、ちょっと気の利いたデザインを考えるときにも、利用ができると思います。自分が、知識を深めることで、本書内容は、より深く理解できるようになるのだろうな、と感じました。

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