「美術の愉しみ方」を読んで

美術史家の山梨俊夫氏による「美術をどうやって見るのか」「美術をどう楽しむか」が書かれた一冊。初心者に向け、美術館賞を始めるための、そして、美術の世界に入るための扉を七つ説明します。その扉は、それぞれ、関心を開く、好きを見つける、読む、比べる、敷居を跨ぐ、参加する、判る判らない、というタイトルがつけられています。それぞれの扉を潜った先に、どういった美術の楽しみ方があるのか、ということを、著者の実体験をもとに様々な愉しみが述べられます。絵画を見たときの疑問を、それぞれの扉に即して、異なる視点を持って見ていくことで、どういうことが分かるのか。その実践が語られます。人によって、美術の扉をどのように開いていくかは異なりますが、それぞれの楽しみ方があることが、本書から分かります。そして、いくつかの扉を潜っていくことで、より深く美術を楽しむことができるようになっていくことが分かります。本書は、美術館賞と言われたときにハードルを高く感じる気持ちを解きほぐして、もっと気軽に美術を楽しむことができる、ということを教えてくれます。

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