「骨が語る人類史」を読んで

サイエンス・ライターのブライアン・スウィーテクによる「骨」から見た人類史を語る一冊。本書では、まず、骨の発達、骨の歴史から、人類に至るまでの歴史を語っていきます。骨は外側から進化した、という事実を、骨につながる物質から解き明かしていきます。そして、骨が語ることを解きほぐしていきます。博物館に展示される骨から分かる出来事。骨自体が語ることを、詳細に語っていきます。現代の科学では、どこまで分かるのか、ということを事実から語っていきます。恐竜に魅せられた著者によるヒトの骨の歴史についての語りは、人類と他の生き物との繋がりを感じさせます。人類に繋がっていく骨の成り立ち、どのように進化してきたのか。進化のダイナミクスを軽妙に語っていきます。残された骨が語る内容、骨の残してきたことを読み解く我々、という対比に潜む問題も指摘していきます。骨を読み解く時、我々が暗黙的に前提とする「現代の視点」が、いかに通用しないのか。そのことを自覚できないという過去の事例の数々。人種差別というものの根深さを著者は指摘していきます。そして、差別がどのように生まれたのか、それがいかに不適切なのか。過去の数々の事例とともに、そのことを指摘します。本書は、タイトルの通り、骨という主題を軸に、人類史を振り返り、我々が考えるべき問題を提示する一冊です。

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