「分解の哲学」を読んで

京都大学の藤原氏による「分解」を通して世界を考える一冊です。我々の社会に存在する新品とゴミというものを繋ぐ分解という間。この分解というものを歴史学、文学、生態学、工芸、と様々な分野を横断して見ていきます。ネグリとハートの「帝国」という形態から、腐敗という姿を考えていきます。この議論から、分解者としての食べる主体、人間というものを見出します。この人間、という軸を、本書では考えていきます。建造、崩壊、再生、という工程を繰り返す積み木を通して、その発明者フレーベルの哲学を見ながら、分解を考えていきます。この積み木を通した議論の中で、分解を契機とした秩序というものを著者は論じます。そこには、分解という作用を通して、希望を見出していきます。分解は、何かを崩壊させながら、次の建の始まりを感じさせる。この積み木の哲学を基礎として、文学、歴史、生態学、と分解の議論を展開していきます。分解という作用が、どのような姿をとるのか、ということを様々な側面から考えていきます。そして、この分解は副産物として何を生むのか。その生まれてくるものの姿も同時に捉えようとします。消費と分解、そして、分解と再生。この境界にあるもの。この姿を通して、分解というものが」、どのような姿をしているのか。分解を考える論が、どのように食べるということと繋がっていくのか、ということを、本書は示していきます。

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