「祈りは人の半分」を読んで

日本宗教信仰復興会議代表理事の水谷氏と上智大学の鎌田氏による「祈り」の現状と課題に関する一冊。「宗教信仰」とそれを支える「祈り」とは何か、という問いを日本の現状、イスラム教、仏教、キリスト教、神道などの立場から検討をします。ここでは、日本の状況によった宗教と世間との差異を含めた「祈り」というものを描き出していきます。現代社会における科学信仰に対する宗教の立場といってものも解説されます。そして、信仰とはどのようなものかを宗教の実践者、信徒の立場からどのように捉えられているのかを、聞き取りから描いたもの、過去の文書から写し取ったものなどをから、その内面世界を述べます。求道という立場の必要性を宗教の立場から描き、巡礼とは何かを追体験していきます。そこには各宗教ごとの祈りの意味と、そこから向かう巡礼の立場があります。また、各宗教における宗教信仰を記述した書籍から宗教信仰とは何かを論じます。ここまで見てきた宗教における信仰、祈りの立場から、日本のあり方をイスラムとの比較から検討します。ここでは、それぞれの考え方、文化がどのように違うのか、お互いの立場からどのように見えるのか、といった議論から、戦後日本の現状と課題を提示していきます。「祈り」が人間にとって、どのように扱われるべきなのか。人間という存在に対する問いを本書は提起します。

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