「その後の不自由」を読んで

ダルク女性ハウス代表の上岡さんとNPO法人リカバリー代表の大嶋さんによる「暴力をはじめとする理不尽な体験そのものを生き延びたその後、今度は生きつづけるためにさまざまな不自由を抱える人たちの現実」を描いた一冊。トラウマ的事件の後、専門家による援助の後、当事者がどのように生きているのか、ということを、当事者である著者らが懸命に書き出しています。「普通の生活」とは何なのか。そのことを、トラウマ的事件に至る前、その渦中の状態を通して考えていきます。ここで述べられている内容は、決して特別な出来事が起きているわけではない、ということを示しています。何かが違えば、それは私にも起こり得ることなんだと思いました。そして、「普通の生活」というものが、当たり前ではないこと。それを当たり前に過ごすことができる、ということは、どんなことなのか。そのためには、何が必要なのか、ということを、当事者、そして、援助者の視点から述べていきます。回復とは回復しつづけること、変化しつづけることがいちばん安定することなんだ、という言葉は、生きづらさを抱える私たちにとって、とても大切な言葉だと思いました。本書は、依存症の当事者、援助者の人たちにとっても助けになる本だと思います。ですが、生きにくさ、生きづらさを感じる人によっても、助けになる本ではないかと思いました。

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