「パリと本屋さん」を読んで

パリ郊外に住むパリュスあや子さんによるパリでの生活とパリの本屋にまつわるエッセイ。2019年5月から始まるエッセイは、パリでの本屋の役割であったり、パリの生活などを、著者の率直な視点で語られており、読んでいて、興味深い内容です。パリでの年金ストやコロナ禍のロックダウンを現地で生活する人間として見た時の印象や、パリにある個性的な本屋での対話など、この本でしか読めないような内容が多く、読むことで、パリをほんの少し身近に感じる一冊です。パリにある本屋の品揃えが、その本屋の色を強く表しているところは、大型書店に慣れた人間からはとても興味をそそられるところです。また、書店の店主や店員と客との会話が、形式ばったものではなく、人間的な会話として行われているところなど、国が違えば、本屋というもののあり方も異なる、ということを改めて感じさせてくれます。本書は、その個性的な本屋を著者と一緒に周るような、そんな気楽さのある語り口で、パリの生活を感じられる一冊です。本が日常生活の中に、自然と存在している、そんなパリの生活を想像できる内容でした。

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