「深夜、生命線をそっと足す」を読んで

作家の燃え殻さんとAV監督の二村ヒトシさんの配信番組を書き下ろした一冊。深夜に配信されていた、という二人の何か大切なことを話しているようで、かといって、何かが解決しているわけでもない、ただ雑談を聞いているような内容です。配信として話していた内容をまとめているため、話の流れも、とめどなく流れていきます。人生の生きづらさ、どうしようもなさ、みたいなものが漂いつつ、そんなもんだよね、という空気が混ざった、何とも言えない雰囲気を感じます。二人が日常の中で思っていること、感じていることを話しながら、時に、映画や小説、共通の知り合いにまつわることと話が広がっていきます。広がった話も、最後にまとめられることもあれば、そのまま広がった状態であったり、と、リアルな雑談が繰り広げられます。自分がその話の中に出てくる、ということはないですが、どこか「自分もそう思うんだよなぁ」と、ニヤッとさせられる、そんな本です。タイトルの通り、深夜、そっと読むと、どうにもならないけど、ただ、まだなんとかやってみるか、と思わせられる一冊です。

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