「SAVE THE CATの法則」を読んで

「売れる脚本って、どういうもの?」

ハリウッドで最も成功した競売向け脚本家の一人である著者ブレイク・スナイダーが自身の経験を踏まえて記した「売れる脚本のルール」が、本書です。いわゆる脚本術の本と大きく異なるのが、分析本のように難解な部分は少なく、軽妙な語り口で、売れる脚本、というものを説明している点です。業界を知るからこそ書ける「売れる脚本のルール」なので、エンターテイメントに関わる人には、必携の書となるでしょう。もちろん、エンターテイメントに関わらない人でも、本書の考え方は、参考になる部分があります。

本書は、とにかく「売れる脚本」ということに話題を絞って、それを書くためのルールが実例を交えて紹介されます。脚本を書くまで、というのが本書の前半で述べられます。脚本を売るためには、まず、脚本に興味を持ってもらう必要があります。そのためには、何をすべきか、ということに、ページの大部分が割かれています。「それって、どんな映画?」「どんな映画に似てるの?」「主人公は?」など、脚本を書くために必要な質問と、どう答えていくのか、という方法論が、ふんだんな実例とともに解説されています。

本書の後半は、脚本を書いていく上で重要な方法論やルールが述べられています。脚本の中で押さえるポイント、ルールを、売れた映画のシーンを例に挙げながら、解説しています。シンプルなルールでありながら、このルールの重要性を、軽妙な語り口で述べているため、非常に読みやすくなっています。悪い脚本の直し方も、実例や著者の実体験から得られた知見が多く、なるほど、と思わされました。

本書は、脚本家やエンターテイメント業界で働く人には必携の書かと思います。それ以外の人にも役に立つ本だと思います。エンターテイメントに限らず、何かを売るという場合にも、本書に書かれている内容は参考になる部分はあるかと思います。例えば、売ろうとしているものを、一言で説明するとしたら、ということであったり、これは誰に売るものなの、という思考の部分は、非常に役に立つ部分があると思いました。

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