「WHAT IS LIFE? 生命とは何か」を読んで

ノーベル生理学・医学賞を受賞した生物学者ポール・ナースによる「生命とは何か」「生きているとはどういうことか」を平易な語り口で著した一冊です。本書は著者であるポール・ナースが生物学に興味を持ったエピソード、1羽の蝶についてから始まります。そこから、生命とは何か、という問いを探求していきます。これまでの科学的な発見を振り返りながら、生命について考えていきます。生命を、細胞、遺伝子、進化、化学、情報という、五つのステップで述べていきます。そこで、生命とは単独ではなく、周囲の環境との関わりの中で生きている、という当たり前のことを、科学的な発見を振り返ることで描き出していきます。ここでは、科学的な発見に貢献した人物にスポットライトが当たったり、その発見がどういうことを明らかにしたのか、など、興味深い内容が、軽妙な語り口で語られます。そして、このようにして、生命を知ることで、私たちは何ができるようになるのか、ということが語られます。科学に基づく決定、その影響の重要性を現在の私たち、そして未来の世界に繋いでいくことの責任を実例とともに語ります。このように、生命を知ることが、私たちにとって重要であることを明確にしていきます。最後に、「生命とは何か」という著者の考える定義をし、それを理解することが、どのように未来をつなげていくのか、ということを述べます。本書は、平易な語り口の中に科学に対する情熱を感じさせる一冊です。

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