「急に具合が悪くなる」を読んで

「急に具合が悪くなる」書籍ページ: https://www.shobunsha.co.jp/?p=5493

これは、自己が生きる、ということ、そして、他者と生きる、ということを、力強く叫んでくる本、というのが、読後の印象でした。そして、読後感は、言葉を発せなくなる、としか表現できないです。それほどまでに、引き込まれる内容でした。個人的には、本書は、ただ中に引き込まれて、読んで欲しい本です。

哲学者宮野さんと人類学者磯野さんの往復書簡を書籍にしたのが、本書です。磯野さんと宮野さんとの、ただひたすらに真剣な思考のやりとり。お互いの持つ圧倒的な思考と、互いに対する信頼、全力投球で言葉をやりとりする中で生まれる言葉。その全てが読む人に、それぞれ、別な方法で、グッサリと刺さってくると思います。

前半は、現代社会というものを軸に宮野さんと磯野さんとの間で「医療とは?」「偶然とは?」と内容が、しっかりとした基礎の上に、述べられていく、という流れです。後半は、「生きる」ということは何なのか、ということが述べられてきます。「ラインを描く」など、コミュニケーションにおいて、自己という点が、いかに生きるか、ということの実感を伴った言葉の多くは、なんてすごいんだ、と思いました。「生きる」ということを、真摯に考え、そして、出てくる言葉は、「ああ、すごい」という感触を持っていました。

本書は、まさに「駆け抜けていく」という表現がぴったりで、読み始めると、一気に本の中で交わされる往復書簡の世界に引き込まれます。本書は、読むことによって、自分の中の「もやもや」に対する心の持ちようといったもののヒントが得られるのではないかと思います。本当に、「すごい」という言葉しか出てこない本でした。

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