「これで古典がよくわかる」を読んで

橋本治氏による古典を学ぶための入門書となる一冊。橋本氏の特徴的な現代語訳がどのように生まれてきたのかというのかが分かる内容にもなっています。本書では、古典が「わかる」ようになるための心構えや、実際にどのように文を読むのか、といったことが具体例とともに語られます。本書では、古典が現代社会において、どのような存在となっているのか、なぜそのように考えられているのか、といったことが語られます。そして、著者は、古典を「わかる」ためには、どこから始めるのか、ということを述べます。古典をわかるようになるためには、まず、わからない、ということを認める。そこから、「わかる」が訪れてくる、と言います。次に、なぜ、古典が、なぜわからないのか、ということが解説されます。平安時代、鎌倉時代の日本文化の中で、文章がどのように扱われてきたのか、ということを中心に述べていきます。この時代において、書き言葉と話し言葉の違い、それらは何を表していたのか。この点を著者は、本当とうそという議論として描き出します。次に、日本の古典とはなんだったのか、といったことや、なぜ平安時代が特別視されているのか、ということを解説します。そして、古典を「わかる」ための方法、古典が「わかる」とどんなことがあるのか、といったことを実例とともに紹介します。本書は、古典を身近なものにするとともに、日本文化というものを考えさせる一冊だと感じました。

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