「近代美学入門」を読んで

井奥陽子氏による西洋近代美学について、いくつかのキーワードを軸に解説を行う本です。本書では、西洋近代美学をなぜ知ることが重要なのか、ということを解説し、その後、「芸術」、「芸術家」、「美」、「崇高」、「ピクチャレスク」というキーワードについて、その概念の歴史的な変遷を解説していきます。これらのキーワードについて、自分たちが、「当たり前にこういう意味である」と思っている内容が、本当に当たり前なのか、ということを確認していきます。その作業は、当たり前だと思っている内容が、当たり前に過去からあったのではなく、歴史の中で徐々に形作られて行った概念である、ということを確認していく作業です。本書で紹介されるこれらの概念が、初めは違う意味を持ち、それらが徐々に現在使われている意味になっていく歴史を知ることで、これらの概念を自分が、どのように使っていくのか、ということを考えさせられる一冊です。本書は、ここから美学を学んでいく上で、基礎となるであろう概念を簡単に知ることができ、この後、どういった内容を学んでいくと良いのか、ということも理解することができる一冊だと思いました。

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