「死の講義」を読んで

社会学者の橋爪氏による「人間が死んだらどうなるか」について、様々な宗教の考え方を概観した一冊です。私はいつか死ぬ。そして、死ぬということを知りながら生きている。では、死んだらどうなるのか。なぜ、私はそれを考えるのか。死ぬということは、そのように生きるということである。だから、死んだらどうなるか、ということを考え、決めることが重要になる。本書は、「死んだらどうなるか」ということを、人間がどのように考えてきたのか、を見ていきます。まず、「死」とはどういうものなのか、その分からなさを考えます。超経験的な事実であるがゆえに、私は死というものが分かりません。では、私をどのように考えていくのか。それを宗教という面から考えていきます。宗教は、世界の見方を提示してきました。一神教のユダヤ教、キリスト教、イスラム教。インドのバラモン教、ヒンドゥー教、仏教。中国の儒教、道教。そして、私たち日本人の考え方。これらの宗教での世界の捉え方、そこから考えられる死の姿というものを見ていきます。そして、現代の思考と、そこにおいて、なぜ死を考えることが重要になるのかと、本書の主題をまとめていきます。選択をする、ということは、数ある選択肢と出会い、それを知るということです。そして、選択をする選択肢、決めるが、その理由は分からない。ただ、決めることで、自分の生き方を開いていく。本書は、その入り口に立つ読者に、こういう道がありますがどうでしょう、と語りかけてきます。

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