「ブックセラーズ・ダイアリー」を読んで

スコットランドの古書店「ザ・ブックショップ」を経営するショーン・バイセルの2014年に書かれた日記をまとめた一冊。30歳の時に衝動買いした本屋は、今ではスコットランド最大の古書店として知られ、「ザ・ブックショップ」のあるウィグタウンは書店の街として知られています。従業員から「客とのやりとりをまとめたら1冊の本になる」と言われ、将来出す本の忘備録として書かれた日々の記録は、やがて日記として、本書になります。本書では、個性の強い店員とのやりとり、変な客、わがままな客とのやりとり、といった著者を中心にした店員や客とのやり取りと、著者のひねくれたユーモアのある返しの言葉の数々。本の買取という複雑なプロセスでの著者と客とのやり取り、そして、買い取った本に対する従業員とのやり取り。ドラマの脚本家と思うほど、はちゃめちゃな出来事に満ちた日々の記録は、そんなことがあるのかという驚きとともに、笑いを誘う内容でもあります。日記の中には、著者が仕事の合間に読んでいる本の記録といった内容もあります。著者の読書に関する話も、また、興味深い内容となっています。本書では、書店の外での著者の日常も記録されています。著者が招かれた夕食会で友人のスチュアートのした「エリオットは、どんな匂いがしましたか?」という質問に関する著者とスチュアートの会話。著者が買い取った本の入った箱を運んでいるときに客から投げかけられた「その箱にも本が入っているの?」という質問と、その客の発した笑いに関する著者の考察。著者のひねくれたユーモアが垣間見える文章も興味を惹かれる内容でした。

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