縁側ばあちゃんへの憧れ

なんでいつもニコニコしてるの？

そりゃあ、気持ちいいからね。こうやって話ができるだけで、ほんと嬉しいねぇ。
あんたがいてくれるのも嬉しいよぉ。

遊ばないの？

私はこれだけあれば十分よ。
こうやってのんびり過ごして、ご飯食べて、お話しして。
なんでもあるっていいわねぇ!

おばあちゃんち、なんもないよ？

あぁそうねぇ。リカちゃんは置きよらんし、スイッチもないものねぇ。

ばあば買って！

欲しいのかい。

ほしい！

そうかそうか。
でもねえ。ばあちゃんはそんなお金があるわけじゃないからねぇ。

うそー！誕生日はいつもケーキ買ってくれるじゃん！プレゼントも！

そうだねぇ。
誕生日はお祝いだからねぇ。
毎日お祝いだったらいいけどねぇ。

じゃあ、おばあちゃんが今日も生きてるお祝いは？？毎日できるよ！

ありがとう、ゆみちゃん。
そう思ってくれてるだけで嬉しいよ。
ありがとねぇ。

お祝いしよ！

誕生日がきたらしましょうねぇ。

えー。つまんないのー。

いいのよぉ。つまんなくて。
こんなにも気持ちが良くて。

そぉ？？ばあばだけじゃない？？

ゆみちゃんは楽しくないの？

うーん。楽しい？


そうそう。そのくらいでいいのよ。
幸せなんてね、いくらでもあるんだから。

ばあばしあわせ？

そうねぇ。幸せだわね。こんな楽しくて。嬉しいわぁ。

へー。

じゃあゆみちゃん。一個だけお話ししましょうかね。

なにー？

とっておきのおまじないだよ。
忙しくて辛い時は思い出すんだよ？？

どんなはなしー？

むかーしむかし。
ばあばはねぇ。ご飯もお家もみんななくなったことがあったの。

えー！！
それでそれで？？

近くにちょうどおはぎ屋さんができたからね、そこにお勤めして、夜はそこに泊めてもらえたんだよ。

おはぎ？？

あとでゆみちゃんもお食べ。あんこが甘くて美味しいよ。

やった！

それからね。
じいじと出会って、お家建てて、ご飯もお家もみーんな集まったの。

だからね。
ほんとはみーんなあるの。
ご飯が食べれてお布団で寝ておしゃべりして。

なーんにもない。ゆみちゃんもきっと、これから忙しくて忙しくて辛い時もあるよ。
そんな時はね。

やかんでもケトルでもいいからお湯を沸かしなさい。
それから、お味噌汁のね。レトルトでいいのよ？それをなんでもいいの。コップでもお茶碗でも。
そこにあったかいお湯を入れてまぜて。

ゆっくり飲んでみなさんな。

お味噌汁飲んだらどうなるの？

おばあちゃんを思い出しなさいな。
お話ししたことを思い出せばいいとよ。

それがなにー？

いつかゆみちゃんの力になるとね。

へんなのー。

私はなんで泣いてるんだろう。

普段全く飲まない味噌汁なんかつくって。

…あったかい.........。