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司法書士のおしごと!【#4 相続】
相続登記は司法書士へ
相続と認知症から大切な家族と財産を守り、円満な資産の承継を支える司法書士の野田啓紀です。
司法書士のおしごと第4回は、相続についてお話します。
相続の分野でも、司法書士が活躍している場は多くあります。
相続の手続が義務になります
令和6年4月から、相続の手続が一部義務化されます。
土地や建物を所有している人が亡くなり、相続が始まってから3年以内に法務局で名義変更をしないと、行政罰として10万円以下の過料を請求されることになります。
これは、改正法が施行されるよりも前に亡くなった人にも適用されます。
つまり、令和6年4月以前に亡くなった方は、ここから3年以内である令和9年3月31日までに相続登記を済ませなければ、義務違反ということになります。
相続の手続をするには、相続人を調査して、相続人全員で話し合うところから始まります。中には、親族でもめていて話し合いが進まないばかりではなく、認知症などで判断能力を失っている方、海外に居住していて日本に戻ってこない方や、音信不通で行方不明な方がいると、遺産分割の話し合いができません。
この場合には、話し合いをする前に、前提となる準備や手続が必要となり、余分に時間がかかります。ましてや、もめて裁判をしようものなら、1年以上かかることは珍しくありません。
円滑に相続の手続ができるように、生前から準備をしておくことがますます重要になります。
なぜ、相続が義務になるのか
きっかけは、平成23年に発生した東日本大震災です。
大震災の後、復旧復興のために、宅地を高台に移転しようとしたり、道路や橋をかけ直そうとしたりします。国や地方自治体が公共事業のために用地を収容しようとしたところ、登記簿を見ても、相続登記がされていなくて所有者がわからなくなっている土地が大量にあふれていることがわかってまいりました。これが、国土の20%にあたる土地で、現在の所有者がわからなくなっているという推計までされました。
このため、被災地の復旧復興が大幅に遅れる原因となり、国としても緊急でさまざまな手当をされました。ひとつめは、所有者がわからなくても、公共事業などで必要な範囲で利用することができるルールをつくりました。ふたつめは、将来にわたって同じような問題が起こらないようなルールをつくりました。
相続登記の義務化は、今後、所有者のわからない土地を増やさないようにするためのものです。
たとえば住み続けている自宅であれば、相続登記はやらなくてもいいと思いこんでいる方もいますが、今後はそれは許されません。
司法書士がする相続の手続
相続人の調査
あらゆる士業の中で、司法書士は、戸籍を読み解き、調査する力に優れています。全国の役場から戸籍や住民票を集めて、相続人の調査を代行することができます。
住所がわからない相続人がいても、調べればわかります。在留外国人がお亡くなりになったときは、海外の証明書を請求して調べることもあります。
相続財産の調査
亡くなった方が所有していた不動産、預貯金、証券口座、生命保険を調査することができます。相続人がすべての財産を把握していないときは、これを調べなければなりませんが、司法書士は、これらを代行することができます。
遺産分割協議書
遺言がないときは、相続人全員で、遺産の分け方を話し合うことになります。話し合った結果をまとめた書面を遺産分割協議書といいます。不動産の名義変更にも使う書類で、司法書士は、これを作成することができます。
相続登記
亡くなった方が所有していた不動産の名義変更をするには、法務局で相続登記をします。戸籍謄本や遺産分割協議書をそろえて、登記申請書を作成してから、法務局へ持ち込みます。
登記申請書の作成や必要な添付書類については、法務局でも教えてもらえますが、代わりにつくってもらえません。自分ですることが難しいときには、司法書士にご依頼ください。
相続放棄
借金があって相続したくない、生前に十分に財産の贈与を受けている、他の相続人とかかわりたくない、遺産を分散させたくないなどの理由で、相続放棄を選択される方があります。
相続放棄は、自分の心で思いこんでいたり、相続人に口頭で伝えても効果は発生しません。相続が始まってから3か月以内に、家庭裁判所で手続をすることになります。司法書士は、家庭裁判所に提出する相続放棄の申述書を作成することができます。
遺産分割調停
相続人での話し合いがうまくいかないときは、家庭裁判所に間に入ってもらって、調整することになります。このためには、家庭裁判所に申立をして、手続を始めてもらいます。
司法書士は、家庭裁判所に提出する書類を作成することができますので、遺産分割調停の申立書を作成します。
遺言書
遺言さえあれば、と思うような相続を多く目にしてきました。遺言をつくることを大げさなものと構える方も多くいますが、大小のもめごとも遺言によって防止することができるほか、認知症になって遺産分割ができないときにも遺言があれば円滑に進めることもできるようになります。
これからも紹介していきます
司法書士のおしごとについて、第4回は、相続のことをお伝えしました。
相続は、お金持ちだけの特別な話ではありません。
人は、必ず亡くなります。そのときに、1円でも財産があれば、相続の手続きをすることになります。この負担を少しでも軽くし、残された家族に喜んでもらえるように準備をすることが当たり前になってきました。
司法書士は、なかなか身近に想像しにくい仕事をしている専門家でありますから、職業として知られていないことも多くあります。モノをつくっているわけでもなく、体感できるサービスを提供しているわけでもありませんが、国民のみなさまの財産と権利をまもり、国の機能を円滑にして信頼を高めるという重要な役割を担っております。
次回からも、具体的なおしごとのことについてもお伝えしてまいります。ぜひ、お楽しみに。
私どもへのお問い合わせは、ホームページからお気軽にどうぞ。
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