司法書士のおしごと!【#3 商業法人登記】
商業法人登記とは?
相続と認知症から大切な家族と財産を守り、円満な資産の承継を支える司法書士の野田啓紀です。
司法書士のおしごと第3回は、商業法人登記についてお話します。
これも、前回の不動産登記に並び、司法書士の中心的なしごとです。
会社の登記簿は、メンテナンスの義務がある
会社や法人に関する証明書は、履歴事項全部証明書(=登記簿謄本)と呼ばれ、法務局で管理されています。この記録を書き換えることを「登記」といいます。
「登記」ということばは、登録とほとんど同じ意味です。国に登録するもののうち、法務省の管轄にあるものは、登記と表現するものが多いようです。商業法人登記とは、会社や法人に関する情報を国の帳簿に登録する手続のことをいいます。
たとえば、会社の役員を交代させたり、本社を移転させたりしたときには、法務局で、登記の書き換えをしなければなりません。これは、変更があった日から2週間以内に、法務局へ申請をしなければならず、これは罰則付きの義務となっています。この登記申請を代理することが認められた資格者が司法書士です。
会社法人登記を代理人となってすることができるのは、司法書士と弁護士のみです。資格のない者が、法務局に提出する書類を作成することや、登記申請の代理をすることは違法です。
情報が古いと困ることが…
会社の登記簿謄本を提出しなければならない場面に、情報が古いままになっていることに気がついて困っている姿をたびたび目にしております。
金融機関から、与信のために提出することがあれば、補助金や助成金を申請するために添付書類として求められることがあります。また、建設業や産業廃棄物収集運搬業などの許認可の更新のときには、登記簿謄本を提出します。
このときに、会社の登記をメンテナンスしていなかったために、役員の任期が切れていたり、既に辞めたり亡くなったりしている役員が登記簿に記載されたままになっていることがあります。また、会社の事業内容が変わっているのに事業目的の記録を更新していないことがあります。
このような場合には、提出するよりも先に、登記を直さなくてはならず、これ時間がかかってしまって、あわてる方を何度も見てまいりました。
会社の登記のことは、顧問税理士がやってくれていると思いこんでいる社長がおりますが、違います。これは他人任せにするのではなく、きちんと会社ごとに管理していただくことです。
司法書士がする会社、法人の登記手続
会社の設立
会社を設立するには、法務局で登記をしなければなりません。司法書士は、そのために必要な打ち合わせや助言をしながら、公証役場での定款作成や、法務局に提出する書類の作成をして、代理人となって登記申請をしています。
つまり、会社の設立手続のことは、司法書士に丸投げすることができます。
役員変更
会社や法人の役員には、法律で決められた任期があり、任期が切れたら再度選び直す手続をしなければなりません。また、途中で役員の交代をしたり、死亡により退任された方があれば、登記を直さなければなりません。
司法書士は、これらに必要な書類作成をして、代理人となって法務局への申請をしています。
本店移転、事業目的変更
会社の本店事務所を引っ越したり、新規事業をはじめるときには、定款変更をして、登記簿の書き換えをしなければなりません。
司法書士は、これらに必要な書類作成をして、代理人となって法務局への申請をしています。
資本金の変更、新株発行、ストックオプション
資本金を増やす増資や資本金を減らす減資のほか、資金調達のために新たに株式やストックオプションを発行するときには、登記簿を書き換えなければなりません。
司法書士は、変更する内容を税理士と打ち合わせをしながら、間違いのない内容で情報を整理して、書類作成や法務局への登記申請をしています。
会社の合併、分割
会社を合併したり分割するには、法律で定められた手続を経たのち、法務局で登記申請をしなければなりません。
司法書士は、変更する内容を税理士と打ち合わせをしながら、間違いのない内容で情報を整理して、書類作成や法務局への登記申請をしています。
解散、清算
事業をやめたり、引退するなどで会社をたたむときにも、法務局と税務署で会社を閉じる手続をしなければなりません。
司法書士は法務局での手続を、税理士が税務署での手続をそれぞれ役割分担しながら間違いなく進めることができます。
これからも紹介していきます
司法書士のおしごとについて、第3回は、商業法人登記のことをお伝えしました。
会社や法人は、生身の人間とは異なり、そこにあるのかないのか、目に見えません。なりすましやペーパーカンパニーがあふれて、正常な経済活動ができなくなってしまえば、国民にとっては損失です。そのため、ルールをつくり、会社には登記をさせて、国が証明書を発行することで、取引の安全をまもっています。
司法書士は、なかなか身近に想像しにくい仕事をしている専門家でありますから、職業として知られていないことも多くあります。モノをつくっているわけでもなく、体感できるサービスを提供しているわけでもありませんが、国民のみなさまの財産と権利をまもり、国の機能を円滑にして信頼を高めるという重要な役割を担っております。
次回からも、具体的なおしごとのことについてもお伝えしてまいります。ぜひ、お楽しみに。
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