小売業の本質:「はじめに」の一部
私もそうです。
また、多くの人は、友達が販売しているものを買う。
私もそうです。その友達を信頼しているからです。
別の知人が「売りつけよう」という考えで近づいてくると見抜ける。これは店頭で「売りつけられる」と感じるのと同じ感覚です。もちろん買いませんし、その人とは距離を置きます。
だから「売る」という感覚で商売をすると、一度売りつけることが出来ても、そのお客様は帰ってこない。
生活者の立場に立つと、情報があふれるほどにあって、ネット通販の普及でどこに住んでいても物が買える時代に、「要らないものは買わない」
DX(デジタル・トランスフォーメーション)などのバズワードを御旗に、実店舗だけでなく、ネット・LINE等を駆使して、特売情報を送りつけて「売りつけよう」とするのです。
「本質」という言葉があります。
本質とは「そのものとして欠くことのできない、最も大事な根本の性質・要素」です。
本質とは、多くの事象に当てはまる「よりどころ」とも言えるでしょう。
判断の「よりどころ」が明確だと、「判断基準」も明確です。
判断基準が明確だと、どんな時でもブレない判断をして、行動することができます。
「本質」を明確にして共有できている企業と、各自がバラバラな判断基準で行動する企業のどちらが成果を出すことができるでしょうか。
さて、小売業の本質とは何でしょうか。
AmazonのJeffrey Preston Bezos 会長の発言に「Amazonが他社と決定的に異なるのは、ビジネスの中核が物を売るのではないということだ。Amazonのビジネスの本質は人々の購買体験を助けることにある」というものがあります。
繰り返しになりますが、人は(自分が不要なものを)売りつけられることを嫌います。
お客様が必要な時に、必要なサポートが出来る。不要な時は、邪魔をしない。
筆者は、こういったところに小売業の本質があるのではないかと考えます。
現在の小売業と1年前の小売業は関連しています。言い換えると、繋がっています。1年前の小売業と2年前の小売業はつながっています。
そもそも「小売業」は何か?どう進化してきたのかについては、本質を理解する前提になります。これをまず第1章に書きました。
一口に「小売業」と言っても、その認識は人によって様々です。
・コンビニ、スーパー、ドラッグストア、百貨店などの店。
・小売業は飲食店以外のお店全部。
・お店とネット通販であるAmazonなどのEC。
生活者がデジタル・ツールを使うことが当たり前になった現代において、小売業の伝統的モデルをゼロベースで見直す必要があります。
従来の常識に囚われず、購買プロセスを細分化し、生活者のデジタルトランスフォーメーション(DX)に対応した新たなプロセスを考え抜く必要があります。
「小売業に携わっている」方はもちろん、ITベンダーに勤務していて「小売業の仕組みを知りたい」方がDXの前に知っておくべきことを理解する助けになることを意識して本を書きました。
一つでも多く「小売店舗ってなんで〇〇なのだろう?」という疑問を解消して、小売業の未来を自分の頭で考えるためのヒントに繋がりましたら、連夜苦労したかいがあります。
章立ては以下の通りです
1章:小売業1.0~4.0
2章:小売業におけるマーケティングの役割
3章:売上だけに注目すると売上が下がるのはなぜか
4章:購買行動とインストア・マーチャンダイジング
5章:小売ファネルのフレームワーク
6章:従業員の作業を適正に定義する
7章:実店舗とECの違い
8章:OMO時代の店舗ICT活用事例
9章:小売業5.0 つなぐ(Connect)
自分が書いておきたいだけの本
連載締切に追われる傍らで、小売業に関することをまとめて書き留めておきたいなぁという想いで、2年ほどコツコツ書いて年初に8割書き終わりました。
商業出版のことも薄っすらわかっていたので、合わないと思いつつ友人ツテで何人かの出版関係の方にお見せしたところ、やはり今、(店頭で話題性があり)目を引くものがないと難しいとのことでした。
そのまま半年放置していたのですが、この10月にAmazonのオンデマンド出版が一般開放されましたので、ちょうど良い機会なので、残りを書き上げて表紙を作り販売開始しました。
ご興味ある方は、Kindle unlimited会員ですと無料でも読めますのでお目通しいただければと思います。
https://www.amazon.co.jp/dp/B09K5SY7QC/ref=cm_sw_r_tw_dp_132P9K4HYRRTBT6D12CJ
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