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熱量を組織全体で育むためのモメンタムの起こし方 〜全員採用の事例〜

ある日突然、「採用狂気」という言葉がオフィスで飛び交い始めたら、あなたはどう感じるでしょうか?

いつもの日常に風穴を開けるような、新鮮なワードが社内のエネルギーを一変させる。これはただの空想ではなく実際に起こった話です。モメンタムを生み出し、組織を活性化させた2つのエピソードから、革新的な変化を引き起こす秘密を明かします。これから紹介するストーリーは、ただの成功談にあらず。あなたがどのような職場にいようとも、自らの環境で革新を起こし、ポジティブな動きを生み出すためのヒントを提供します。

申し遅れました。「テクノロジーで人々を適切な医療に案内する」をミッションに、医療プラットフォームを提供しているUbie株式会社 プログラマーの長澤 太郎です。この記事は #Ubieアドベントカレンダー 12日目にエントリーしています。

組織を変えたいならモメンタムを自ら起こせ

これからお届けする2つのエピソードは、メンバーの意識を変え、組織課題に立ち向かったという話です。モメンタム、すなわち勢いや「やるぞ!」という雰囲気を醸成することこそが、活動の目的や意義を組織内へ浸透させるのに効果覿面です。いかにしてモメンタムを生み出すかについては、結論、エンターテイメント性と意外性が大事であると私は信じています。その具体的なエピソードを2つ紹介します。

Ep1. 踊る採用リーダー

失われつつあった、全員採用への熱量を取り戻す

Ubieでは、いわゆる「全員採用」に取り組んでいます。特定のロールだけが採用活動を行うというわけではなく、真に全員で採用活動を行い、自分たちの仲間を自分たちで増やすという哲学があります。

私が採用チームを任された2022年の秋には、組織の拡大や時世などいくつかの要因が重なり、その灯火がかつての勢いを失いつつありました。「全員採用なくしてUbieの採用なし」ということで、この事態をどうにか好転させなければなりませんでした。

どんな説明も興味を持たれなければどうということはない

日頃から、誰かを焚き付けるためには、適切な情報を与えて合理的な判断を期待するだけでは物足りないと感じていました。適切な情報に加え、印象付けるような何かしらの驚き、笑い、感動があると、頭にびっしりとこびりついて、意識のあるなしにかかわらず、行動を促せるものだと考えています。退屈な説明は無用の長物なのです。

社内での情報共有の場で「今の採用パイプラインがこうで、どの程度ショートしていて、つまりヤバイ」というファクトを淡々と喋るだけでは伝わりません。

そこで私はこうしました。ちょっと大袈裟なセミナー講師に扮して、身振り手振りでストーリーを語っていく。スライドも普段より凝ったりして。場違いな立ち居振る舞いが緊張をほぐし、笑いを誘う。体感としては、みんなとても集中して聞いてくれたし、終わったあとにスライドの共有を要求されたり、あちこちで噂話として伝播したりして、大成功だったと感じています。

社内外でムーブメントをもたらした「採用狂気」

聴衆の注意を一気に掻っ攫うプレゼンテーション手法は、採用勉強会でもその威力を示しました。普段は着ないジャケットを身にまとい、もっとも重要なメッセージから始める。緩急をつけて、体を動かして、はつらつとした笑顔、時に神妙な面持ち、そして間。発表内容もしっかり作り込んだ上で、こういうインターフェースはより聴衆の興味を誘います

その発表の中で「採用狂気」というUbie内で使われる言葉を紹介しました。全員採用を異常なほど熱量高く実行していくという意気込みを表現する言葉です。このような共通言語の意義は、コミュニケーションのなめらかさに寄与するだけではなく、考え方の浸透、すなわちモメンタム形成にも一役買うと信じています。この「採用狂気」ですが、採用勉強会でご一緒したログラスさんに輸入していただいており、この言葉の不思議な力を再認識しました。

一方社内では、元々存在していた「採用狂気」という言葉よりも、勉強会の発表を締め括った「みんなで採用しなさいよー!」という言葉が流行しました。

「みんなで採用しなさいよー!」と叫んでいるところ

このような活動が、社内の全員採用の勢いを復活させました。2023年1月-3月期の全社的なアワードで、採用賞を個人で受賞しました。

Ep2. 歌うカルチャー伝道師

組織にカルチャーを浸透させる

Ubieには「カルチャーガイド」なるものがあります。読んで字の如く、Ubieの文化を書き記したものではあるのですが、単なる文化・慣習の紹介というよりも、思考や価値観の基準などを強く推奨する行動指針です。個別具体の行動指針を「Do’s & Don’ts」としてまとめています。「こういう場面では、AよりもBの思考・行動を推奨する」といった具合です。これらは、より上位概念である会社のバリューと整合します。このカルチャーの実装によって、Ubieはミッションを達成するための集団へと最適化されるという寸法です。

しかし、この手のドキュメントは往々にして形骸化するものです。Ubieでは、このカルチャーガイドを入社時のみならず、入社後も継続的に読み返すよう働きかけています。とはいえ「Do’s & Don’ts」の数が多すぎて、とてもじゃないが覚えられる量ではないと、そういう課題がありました。

歌をつくって、自分で歌って、ミュージックビデオまでつくった

私は、バリューカルチャー浸透の担当者としてこの問題に取り組みました。

「Do’s & Don’ts」は当然ながら暗記する必要はありません。重要なのはそのエッセンスをインストールしてもらって、日々の行動・思考に反映されればよいのです。そのためにどうするか。やはり意識してもらうこと。よく目にすること、耳にすること。何度も何度も接触することが重要です。しかし、メンバーに語りかけたり、何かしらのドキュメントを用意したところで、あくびをしながら軽く流されるのが関の山だと考えました。そこで選択したhowが、です。

軽快なリズムで、ちょっとふざけた要素を取り入れ、けれどしっかり「Do’s & Don’ts」を意識できる、そういう歌にしました。これを自分で歌って、その様子をミュージックビデオに収めて、社内に展開しました。すると、これが大受け。実際にカルチャーの浸透に役立ったかはわかりませんが、みんなが事あるごとに話題にするので、カルチャーへ、またモメンタムの起こし方へ意識を向かせることについてはコスパのよい施策だったのかなと思います。

Slackにしれっと投稿した自作動画が社内バズ

モメンタムはギャップがつくる

モメンタムを引き起こし組織の意識を変えた2つのエピソードを紹介しました。両者に共通するのは、エンターテイメント性、人を笑わせることが注意を引きつける重要なテクニックだと思えそうです。しかし、私はこう考えます。人の注意を引くには「おや」と思わせるギャップの演出こそが重要であると。笑いはその一例に過ぎません。

例えば私がR-1グランプリに出場したところで即敗退でしょう。笑いが期待される場で、何か面白いことをやってのける自信はありません。逆に少々かしこまった場であれば、その空気をぶち壊すが如く、何か聴衆を驚かすネタを仕込んで、結果的に笑いを誘うことになるかもしれません。要はギャップ。あの人があの場であんな内容を。そういうTPOの逆を行く意外性が、人々の注意を惹きつけて、自分の話を心で聞いてくれるようになると、そう思っています。

最後に、記事を読んでくださり、自分でもモメンタムを起こすために実践したいと思っていらっしゃる方のため、私がプレゼンテーションのときに意識していることを列挙して、本エントリを締めたいと思います。

  • 発表の第一声は、もっとも重要なメッセージであること。また、意外性を持たせ、続きが気になるように仕向ける

  • そうは言っても結論を急がない。ストーリーを語る。ゴールデンサークル理論に似ている

  • なぜこの発表が重要なのか。聴衆のメリットを提示する

  • 課題を示す。発表者自身が聴衆の立場を演じる、共感する。「〜って大変ですよね」「私もそうです(そうでした)」

  • 重要な単語、数字、グラフ、イラストを見せて、何かを考えさせる。聴衆の知りたいという気持ちに応える

  • キーワードや重要なフレーズを用意する。メモったり、SNSでさくっと共有するのに便利なので、そういう行動を促せる

    • 記事の場合は、見出しを工夫する。本文を抽象化した説明を見出しにしがちだが、具体的な文章にすること。例えば「背景」ではなく「失われつつあった、全員採用への熱量を取り戻す」のような感じ

  • メラビアンの法則:言語情報よりも視覚・聴覚からの情報が支配的。発声や表情、ボディランゲージを意識すること

    • 服装。奇をてらわない。説得力ある格好をする

    • 基本的に笑顔かつ十分な声量。あえて小声で話すことも。緩急メリハリ。早口、ゆっくり。繰り返し

      • スライドのスピーカーノートに動きや喋り方をメモっておく

  • 圧倒的な発表練習圧倒的な発表練習(大事なので2回言いました)。実際に誰かに見てもらう練習もする

  • 自己紹介に説得力を持たせる。自分が発表することの価値。一方で、プライベートや弱点などを含めることで親しみやすさを感じてもらう

  • 隙あらばネタを仕込む

  • 聴衆へ問いかける。挙手してもらう。その際、全パターンに応じた返しのセリフを準備しておく

  • 発表最後のスライドは、発表のサマリーや最重要メッセージにする。発表後の挨拶や質疑応答のときに、最後のスライドが表示されたままなので

  • あえて詳細を語らず、疑問を残す。質疑応答が活発になったり、懇親会で質問されたりする機会を創出。もちろん重要な話を落としてはダメ

  • 質疑応答での質問を促すために、あらかじめ想定される質問をスライドに準備しておく。間をつないだり、質問のハードルを低くしたりする

  • 文章をデザインする。一文が長くならないように注意する。口頭でもテキストでも同じ

  • 上記はすべて聴衆に届けるための手法に過ぎない。届けたあと、それが価値ある知識でなければ意味がない。当然のこととして発表内容をよく練ること


最後の最後に宣伝ですが、Ubieでは一緒に働きたいメンバーを募集しています。興味を持っていただけた方はカジュアル面談をご用意しています。お気軽にご登録お待ちしています。

【提供するサービス一覧】
▽生活者向け 症状検索エンジン「ユビー」
日本版:https://ubie.app/
US版:https://ubiehealth.com
▽医療機関向け「ユビーメディカルナビ」
https://intro.dr-ubie.com/

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