{読書感想短歌*141}誉田哲也 『国境事変』
そんなのは何処にも居ない(ホントウの)自分を探せと皆が言うんだ
sonnanowa dokonimoinai (hontouno) jibunwo sagaseto minaga iunda
ジウシリーズの東刑事をメインに、複数視点で進行する物語。誉田哲也のこういうの、バラバラだったストーリーがガッとひとつにまとまる時が、読んでてほんと気持ちいい。しかし東さん、ジウ時点では美咲ちゃんにけっこう好かれてた気がするんだが、本作では孤独なヒーローってかんじ。イケてても、鈍いと恋は始まらない、の好例(?)。
※主要登場人物のひとり、否応なく事件に巻き込まれてく在日三世の男の子の心中がほんとに切なくってな。おのおのが、ほんのちょっとの〈想像力〉を働かせるだけで、この世界はもっと住みよいところになるんじゃないかって気がしてる。