{読書感想短歌*69}市川哲也 『名探偵の証明』
君の住む町の横丁の角に立つ郵便ポストのように在りたい
kimino sumu matino yokotyono kadoni tatu yuubinposutono youni aritai
探偵がいるから殺人が起こるんだ!っていう思想(?)が出てきて、なんて暴論!とおもった…んだけど、ミステリ界の内側のひとについて読み手側から見たならば、それって真実だったりもするのよね。主人公を活躍させるために、事件が創られる。だけどミステリ界にいる人にとってはその世界はフィクションではなくリアルなわけだから、やっぱ暴論は暴論だわともおもう。…みたいに、メタネタが使われているわけじゃないのに、作品全体が〈探偵小説〉という名のメタ構造になってて、読んでるうちに脳があっちこっち寄り道するかんじ、すき。
※探偵とか刑事とかお医者さんとか宇宙飛行士とか退魔師とか、おおよそ物語の主人公ぽくなりそうなポジションは自分には荷が重いのよなと、だけどぜんぜん役に立たなくていいかと言われれば、ちょっとは有用でありたいのよね、と思ってたらこんな歌に。