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タビオナツアー 自分の中にあった孤独と向き合う(帰りのバス)

私の中にある古い私の〝孤独〟
隅に押し込めていた。
ゴミのように見ないようにしていた。

もう一人の〝私〟はとても寂しく、孤独を抱えていた。

人の中に入って自分自身を観察する。
私は大勢の中に入ることを避ける。
以前から逃げる癖があった。

独りになることで楽になるのは
人の目から避けることができるから。
見られている意識から逃れるため。

本当は誰も見ていない。
自分で勝手に〝見られている〟と思い込んでいる。

すべて自分自身の思い込みに囚われていた。

今思えば自分自身を汚い存在とし、
真の自分自身を見たくなかった。
遂にもう一人の私と対峙する時が来たのだ。

タビオナツアー帰りのバス。
おそらく熱があった。
明らかに身体が重かった。
鼻水、咳が出ていた。
リュックを枕にして2人掛けのシートで横になった。

昨日の夜から体調はおかしかった。
時間の経過と共に喉の調子が悪くなった。
咳、痰が出るようになった。

〝何のためにここに来たのだ?〟
〝こんな遠いところまで来て、こんな大事な日に熱を出しやがって!
おまえは人生の目的を知るためにやってきたのじゃないのか?〟

もう一人の私が責めた。

気が付いたら寝ていた。
バスに乗っている時間が長かった。
ちょくちょく起きる。
窓から景色が見える。
体勢を変える。

起きて座るの繰り返し。
気圧のせいか?
耳の聞こえがだんだん悪くなる。
聞こえづらい。

YOUNG LIVING JAPANの職員の方がボールペンを配る。
なぜか私の席を飛ばして後ろへ行く。

私は亡霊。
見えていないのか?
(わたしはここにいます)

「私もらってません。ボールペンをください」
私は声を上げる。

ソルトレイクシティの街中へ帰ってきた。
バスのアナウンスが入った。

ホテルに着く直前。
タイヤの走行音だけしか聞こえなくなった。
そして耳が全く聞こえなくなった。

無音。

以前の仕事は補聴器の販売員。
お客様を理解していたつもりだったと知った。

耳が聞こえないこと。
周りから遮断される。
みんなの中に入れないこと。
こんなに寂しく不安なことなのか。
体感して真に分かる。

聞こえるありがたさ。

ふいに窓の外を見ると木陰に座る黒人男性が目に映る。
ホームレス。

彼を見た瞬間〝私〟に見えた。
〝私だ〟そう感じた。

もう一人の〝私〟
私の内側にあるもう一人の〝私〟は「寂しい」
ゴミのように隅に追いやられ、見ないようにされていたのだ。

仲間が泊まるリトルアメリカに着いた。
少し耳が聞こえるようになっていた。
自分の声が反響するだけで周りの声は聞き取りづらかった。

私は独り隣のホテルに泊まっていた。
みんなと一緒にリトルアメリカの中に入った。

「体調が悪いのでホテルに帰ります」
仲間に告げ、独りでホテルに帰る。

旅に参加すること
独りで別のホテルに泊まることも。

〝すべて自分で決めたことなのだ〟

仲間と別れた後、強烈に寂しさが襲ってきた。徐々に聞こえは戻ってきていた。周りの音が聞こえるようになったが耳は詰まっていた。

国籍は分からない海外のYOUNG LIVINGユーザーから英語で声を掛けられる。

聞こえても英語が何を意味しているのか分からない。YOUNG LIVINGユーザーと分かる服、日本国旗を見て海外の方が挨拶をしてきたのだろうと分かった。「Hi!」とだけ返事をした。

海外の人は私に対してフレンドリーだ。
〝日本人は私に厳しい〟というレッテルを貼っていたことに後から気が付いた。私の単なる思い込み。

寂しさから突然涙が溢れてきた。
目の前から見たことがある人が歩いてきた。

アヤちゃんだ。
たまたま前から歩いてきた。

彼女は農場ツアーに参加していなかった。
ソルトレイクシティの街を自分の感覚で歩く。自分のガイドから行先を言われて動き
違う方向に行くと気分が悪くなる。

自分と向き合うことを独りでやっていた
と農場へ来なかった理由を知った。

知った顔を見てホッとした。

身体の状態を話した。
熱があること。
帰って寝ること。
体調が悪いとウユニさんに相談することを話した。

聞いてもらえた安心感。
すこし心が潤ってホテルに戻ることができた。

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