雪に潜む悪魔。「スノーシャーク 悪魔のフカヒレ」を見たレビュー
いつのまにか九月も終盤に差し掛かっていますね。
気温も下がり、いよいよ芸術(サメ)の秋と言ったところです。
どうでもいいけど「悪魔のフカヒレ」って昨今のトレンドだと美味しそうに聞こえる。ご飯が進みそう。
①雪の下を泳ぐサメ、ランドシャークの元祖か
時は1999年2月。謎の生物を探し調査団が雪山に入ります。彼らはそこで不審な鹿の死骸を発見。さらに奥深くへ分け入っていくと、地震で割れた雪の中に大きな穴が空いているのを発見。いったいなにが? 調査を進めようとした矢先、メンバーは謎の生き物によって次々襲われ命を落とすことに。
調査団失踪の手がかりも得られないまま12年が経ち、不気味な生物は再び人を襲うようになる……というストーリーです。
この「雪の下を泳ぐ」って構図がいまいちよくわからないんですけど、だって人が歩ける程度の雪の下って土じゃないですか? 土の上? 地面? の中を泳いでいるのか。どういうことなんだ。オカルト殺法が効くタイプのサメならまだしも、実弾が効くタイプ(効きます!)のサメが雪だの土だのの下を移動していたらさすがに派手な痕跡が残ると思うのですが。
しかし人々の間では雪ザメは依然として都市伝説でしかなく、人を襲っているのは熊や狼では……という見解に。まあこの頃はまだランドシャークっていうものは確認されてなかったからねえ……(同列の世界線で語るな)。
②昼間から繁盛する酒場
物語の途中で酒場が出てきます。サメ退治に失敗した過去をもつ二人の男がここで衝撃的な(?)出会いを果たし、力を合わせてサメを倒そうと友情を育むに至るシーンでまあまあ大事な箇所なんですが、真昼間からかなり繁盛してるんですよね。これは普通のことなんでしょうか。バーで昼から酒出すの? いいな。
ちなみにこの二人は家で仲良く銃の手入れをしつつ「今夜はフカ(深)酒だ」と意気投合し、酒を飲んで盛り上がります。良かったね! でも尺もそんなにないし、会話が描かれるでもないため、なにをそんなに盛り上がってるのか見てる方は全然わかりません。
あとこのシーンで「あのサメは雌だと思う」という話題が持ち出されるのですが、その根拠が「女は男の全てを奪うから」とのこと。生物学的な話じゃなかったようです。
③爆破、そして衝撃の最後
サメ映画に限らずですが、宿敵を倒すシーンってそれなりに力が入っていると思います。だいたい主人公がカッコよく決めますよね。それなりに。ここの主人公は雪サメに息子をやられた警官のはずだったので、この警官が仇だー!的にやっつけるのかなと勝手に思っていたんですが、そういう感じではありませんでした。
②で紹介した二人のうち一人がダイナマイトによって自爆、巻き込まれたサメもあえなく爆破。えっよくわからないうちに終わった……。
だけどとにかくこれで一件落着! そう思った登場人物たちが目にしたのは、雪の中をうごめく3つのヒレで────!?(次回に続きたい予感)
④尺がもっとあればかなり面白くなった可能性
親子の確執とか、サメ退治に挑んだ過去があるとか、登場人物たちに対してかなり設定は与えられているようなのですがそれをいちいち生かしているほどの時間はなく、でもなんとな〜く匂わせてきます。
進行上不要な物は別に省略して全然いいと思うんですが「過去にサメを退治した。その時の傷がまだある。サメの死骸は燃やしたと思ったがそうではなかったらしい。おれは狙われている」みたいなことをなんとなくその場の会話でサラッと持ち出されるとこっちは「エッその話は何!?」と思いますし、でもこれ以上掘り下げられることも特にないという。尺に対して設定が溢れすぎ感。
というかそもそもこの映画頻繁に「作戦を立てよう」みたいなこと言うんだけど、なんらかの作戦に則った行動が取られた形跡は一度もないです。
そんなグダグダ・サメ映画。秋の鑑賞にいかがでしょうか。