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公開から10年、ついに見たぞ!ハリウッド版「All You Need Is Kill」でヘタレのトムクルーズを堪能しよう

世界は繰り返さないものだ。誰もが同じ恐怖と戦っている。たったひとつの命を敵の前に晒している。

桜坂洋. All You Need is Kill. 集英社 2012

これも見よう見ようと思っていたのですがずっと後回しになっていた作品です。なんで急に見ることにしたかと言うと、某M:Iコミュニティで「2010年代のトムクルーズ好きな映画はなんですか?(イーサンハント以外)」なるアンケートが行われており、そこでこの作品が圧倒的な票を獲得していたからです。これはそろそろ履修しないといけないと思って……

ちなみに私はこのアンケートでジャック・リーチャー Never Go Backに投票しましたが、どういうわけかこの作品への投票数がずっと1です。なんでだよ!!めちゃくちゃ面白かっただろ!!

再ノベライズorスレ立てタイトルは「軍の広報係ぼく、軍事ど素人なのに前線に送られた結果タイムループから抜け出せなくなる」で

そんなこんなで見たEdge of Tomorrow、絵面は割と派手な部類に入るはずなのに全体の印象としては地味だな〜という、なんとも不思議な感想を抱いています。映像化にあたってはおそらくいくらでも派手に作り変えることはできたのでしょうが、そこはあえて原作のトーンを尊重したんですかね。あくまでもリタとケイジの物語だったところが良かったです。原作の要点をちゃんと踏まえた構成だったし、あとは映画らしくチームのメンバーにも見せ場があった(少しだけど)のも良かった。

ケイジの身上が「広告マン上がりの広報係」という設定も面白いと思いました。五十代の役者に「訓練校出たての初年兵」設定が無理なのは当然として、絶妙に「前線と無関係なほぼ民間人」みたいな立ち位置、説得力があっていいです。ブレンダン・グリーソン演じる将軍に「おまえ前線行って撮影とかしてこい」と言われて「血を見るのも怖いし絶対無理」って全力で拒否するケイジ、おまえは本当にイーサンハントと同じ顔の持ち主か?みたいな感じで非常にいい。

そしてそんな絶対に前線いきたくないマンvs絶対に前線におまえを投げ込みたいマンの争いは当然権力を持つ方が勝ち、ケイジくんは無事(?)前線送りに……。

この作品のいいところはなんといってもヘタレのトムが見られるところではないでしょうか。戦地行きたくない(嘘つけよ)血を見るのも怖い(嘘つけよ)安全装置の外し方わからない(嘘つけよ)戦場で怖い目にあってへんな声が出る(嘘つけよ)って感じで見ていて楽しかったです。

あと他の作品でもそうですけどトムがなんかしょうもない人(暴言)を演じている時の「エッヘッヘッヘ……」って笑い方めちゃくちゃイライラさせてくるので大好きだし、ここでも見られて良かったです。

そんなケイジくんが無数の周回を経てどんどん逞しくなっていく様子を見るのも楽しかったです。だんだんいつものトムになっていくのもひとつの醍醐味ですね。ただ今作のトムは基本的に装甲スーツを着用しているので機敏な動きがあまり見れなかったのが個人的には心残りかもしれない(他の作品を見ようね!)。

話の大筋を除けばほぼオリジナルストーリーでしたが、時々原作要素を微妙な形で持ち込んでくるのでそれは少し気になりました。車の中でケイジがリタに「ヘンドリクスはきみにとってどういう存在だったのか?」的な質問を投げかけるが、リタはそれに答えたくない……というシーン、この部分は原作を読んでいればヘンドリクスが「リタの昔の上官でリタの理解者的な存在だったけど戦死した人間」というのがわかりますが、その前知識がなければ完全になんの意味があるのかわからない会話だったなあと思いました。「ちょっとは原作要素入れとくか!」的なテンションで半端な会話劇挟まれてもなっていう。

あとコーヒーも、原作ではリタが用意してくれるけど映画ではケイジがリタにいれてあげていたのも個人的には気になりました。コーヒーはあくまでもリタにまつわるエピソードだったのになあ。でもそれも原作を読んだから色々思うだけであり、映画の中では全体的にキャラクターのバックボーンについては触れられてなかったので何が起きても別にいいといえばいいんですが……。

終わり方も原作とは違いますが、これはこれでいいなあと思いました。日本のライトノベルをハリウッドで映画化するとこうなるぜ!最後はニコニコできる、とっても娯楽映画です。

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