さるまけ①鳥の眼、虫の眼、魚の眼
Clubhouse2月20日放送分(第22回)議事録
さるまけとは、「猿でもわかるマーケティング」の略です。
どういうことかわかったようでわからない。
それがこの「マーケティング」という言葉ですよね。
マーケティングとは、非常にざっくりと言ってしまえば、自社と相性ぴったりの人を見つけるための一連の行動です。
「理想の見込み客」を市場から探してくることと言い換えることもできます。
だからマーケティングに強いというのは、消費者が何を求めているのか、つまりニーズを把握する力に長けているということを意味します。
ただ、これは簡単なようでなかなか難しい。
人の気持ちは移ろうものだからです。
ニーズ、つまり需要には流行り廃りがあり刻々と変化していきますから。
そんな移ろう需要をとらえるために有効なフレームが、「鳥の眼、虫の眼、魚の眼」です。
虫の眼:専門家の視点、細かい視点。正確な視点。
鳥の眼:鳥瞰図的、業界全体を見渡す。自分とライバルと全体。
魚の眼:トレンドの目。今、何が流行っているのか?
マーケッターはこの3つの視点をバランスよく持てないといけません。
■■■■虫の眼
まず虫の眼とは、専門分野において持つきめ細かい視点、正確な視点です。
新しい仕事に就いた場合、まず自分の業務や業界のことに関する学びを深めて専門性を高めていきます。
つまり虫の眼を鍛えていく。
虫の眼が弱いと、そもそも専門家として食っていけません。
ただし、仮にここが強くても虫の眼「しか」ない人は専門バカになってしまう。
視野狭窄というやつですね。
実は日本人にはすごく多いパターンです。
そこに陥るのを防ぐには、初心者にわかりやすく伝える機会を持つのが良いです。
前提知識がない初心者に教えるとき、スムーズに出てこない言葉があれば、その部分について自分の知識が不十分だということがわかります。
専門家にとっては当たり前すぎて疑問を持たないようなことに目を向けるきっかけをくれます。
■■■■鳥の眼
次に鳥の眼。
これは文字とおり、鳥瞰図的に業界全体を見渡す眼のことです。
自分と、ライバルと、そして全体の状況を把握できる眼。
ついつい人は日々の目の前の仕事に追われ、あるいは夢中になってしまい、全体を見渡すことをおざなりにしがちです。
自分で起業するようなやる気のある人もまた、この鳥の眼は弱くなりがちです。
そして、起業したあとに苦労する。
私もまたその一人でした。
当時コピーライターとして独立したわけですが、受注は取れる、顧客には喜んでもらえる、リピート依頼もいただけるという、一見充実した状態でした。
ところが、参入障壁の低いこの仕事に続々とライバルが参入し、みるみるうちに受注単価が下がっていったのです。
頑張って働いている。
コピーライターとしての腕も上がっている。
なによりお客さんに喜んでもらえている。
それにもかかわらず、売上は上がるどころか下がっていきました。
これは当時の私がまだ鳥の眼が弱かったばかりに、知らず知らずのうちに競合に肉薄されていたことに気づかなかった事例です。
また、前項の虫の眼ばかりで鳥の眼がないと、業界に染まってしまって将来的な業界やライバルの状況が見通せないということも起きます。
自社だけではなく競合や全体を見たわし、3年後にその業界の勢力図がどうなっているのか、常にイメージすることが重要です。
そのためには、異業種交流会ならぬ「同業種交流会」がおすすめです。
同業他社の人と話すことで、自分のいる業界のライバルはどんな状況なのか、自社とはどう違うのか、自社のことは客観的にどう見えているのかがわかります。
くれぐれも競合だからといってマウンティングに走ることなく、謙虚に話を聞きにいきましょう。
意図的にやらないとなかなかできませんが、そうして鳥の眼を持てるようになると、自社の商品を必要以上に盲信したり、いたずらに値引きに走ったりすることがなくなります。
つまり施策のミスショットが減らせます。
■■■■魚の眼
最後に魚の眼です。
トレンドを押さえ、いま何が流行っているのか?を見抜く眼。
時流を見極める眼でもあります。
虫の眼と鳥の眼だけでは、需要の移り変わりによる市場の浮き沈みの影響をダイレクトに受けてしまいます。
打つ企画がことごとく外れてしまいます。
逆に、魚の眼を持ってトレンドをうまくとらえられると上昇気流のスパイラルに乗って大きく当てることもできます。
今の日本が弱いのはこの魚の眼です。
「ヒットする」とは、古くて懐かしいものを、新しい形でやりたいという欲求が換気されたということ。
Clubhouseもその一例でしょう。
ある人はmixiを。
ある人はTwitterを。
またある人はラジオを思い出し、それがアップデートされたものとしておもしろがっている。
(普遍的なもの)×(最新のもの)
このかけ算を見抜けるようになってほしいです。
では、どうすれば魚の眼を鍛えられるか。
いま新しく流行っているものについて、たとえ興味を持てなくても「これは何か新たな時流をとらえているのかもしれない」という目で見つめてみることです。
行列には並んでみる。
タピオカのいったい何がいいんだと思っても、とりあえず並んで食べてみる。
話題の映画を見る。
たとえばハリウッド映画は5年前から製作が始まっているので、5年後の世の中を洞察してつくられています。
新しいSNSはとりあえずアカウント作って2、3回やってみる。
自分の業界以外の広告にも積極的に目を向ける。
選り好みをせず、まずはやってみましょう。
そして何か新しい萌芽をはらんでいないかという目で見てみてください。
以上、今回は猿でもわかるマーケティング、通称「さるまけ」の第1回ということで「鳥の眼、虫の眼、魚の眼」について簡単に解説しました。
このフレームを押さえておくと、消費者の需要をうまくとらえる続けることができるようになります。
一時的ではなく長期的な成功を目指すなら、必須の視点です。
ぜひ自分の業界や立場に置き換えて、この視点で考えてみてください。