【VISIONING VOICE Magazine #8】 「人が“変わる”出会いを生み出す、ビジネスボードゲームの開発」 〜 株式会社遭遇設計 広瀬 眞之介さん〜
NEXs Tokyoが主催する、ローカルおよび国内外の広域展開に挑むスタートアップが”次のステージ”に向かって羽ばたくために、サポートをしてくれる人やファンと繋がる番組VISIONING VOICEをインタビュー記事としてまとめたマガジン「VISIONING VOICE Magazine」
「VISIONING VOICE」は4月より日経グループとコラボし、さらにパワーアップ!次のステージを目指すスタートアップ企業の3つの「カクシン(核心・革新・確信)」に迫り、起業家の想いを深堀りします。
今回はJUMPコース(東京発)のスタートアップ、株式会社遭遇設計 代表取締役の広瀬 眞之介(ひろせ しんのすけ)さんにインタビューさせていただきました!
<登壇者プロフィール>
広瀬 眞之介 (株式会社遭遇設計 代表取締役)
体験型研修を専門とする教材開発会社の「遭遇設計」。従来の知識提供中心のセミナー型研修から、目的に特化し凝縮された体験型の研修にすることで、「わかる」からその先の「できる」まで導くことを可能にしている。また、講師の存在が必須だったワークショップやロールプレイも、オリジナルに開発した研修ゲームを活用することで、ベテランのカンやコツといった暗黙知が短時間で伝承できるように。ドロップアウトしたことのある自身の経験から、「出会いが人を変える。人を変える出会いをより多く生み出す」をモットーに、リモートでもできる研修、企業のオリジナルのビジネスゲームや研修プログラムの開発にも力を入れている。
遭遇設計公式サイト: http://so-guu.com
人が変わる機会を後押しする
体験型の研修やビジネスゲームの開発を行っている、株式会社遭遇設計 代表取締役の広瀬 眞之介さん。
「疑似体験」を創り出すことによって、実践よりも早く学びを得ることができる、という実証結果のもと、ビジネスゲームを使って、社会人基礎力や非認知スキルのようなソフトスキルを育成するなど、人が変わる機会を後押しするプロジェクトを多数世の中に送り出しています。
広瀬さん:人はリアルの中で訓練するよりも、学びを得やすいように用意された疑似体験の中で練習した方が、早く学べ、かつ早く教えられます。私たちはこれを「都合の良い疑似体験」と呼んでいます。
たとえばシニアの方に、VR空間の中で「玉の動くスピードを遅くしたけん玉の練習」を行ってもらったところ、数時間後には大技を修得できたという結果も出ています。
この結果をもとにビジネスゲームの開発や展開に注力しており、現在はオンラインシステムを作り、そこから診断、さらには職業紹介につなげる事業の開発も手掛けています。企業での新人採用は従来、求人→書類審査→面談→グループ面談→二次面接というプロセスを踏むのが当たり前でした。しかし、この二次面接までの部分を省けないかと考えたとき、事前に求職者にビジネスゲームに取り組んでもらい、行動診断をすることができれば、個人の特性や能力を可視化することができるようになると思いました。
そのデータを活用することで、求職者には天職を、求人者には適任者を紹介するという仕組みが成立するようになります。ビジネスゲームによって、事前にマッチングだけでなく育成も進んでいるので、企業としても活躍する人材が採用でき、利用者としても活躍しやすい職場に行きやすくなるという利点が生まれるのです。
広瀬さん:上場企業では取締役がどんなスキルを持っているかを可視化することを義務化されているようですが、アメリカではすでに全従業員に対してスキルや組織力を比較可能な状態で可視化することが求められています。
例えば「人が良い」というような、抽象的な指標ではダメで、どのくらい「良い」のかを可視化しなければならない。その文脈でも、私たちのゲームでは数値化ができるので、今後ニーズが高まるのではと期待しています。
【核心】根幹は“人”
―― 広瀬さんは一度就職されてから起業されたということですが、実際に起業に至るまでには、どのような経緯があったのでしょうか。
広瀬さん:大学院を出てから就職したのですが、1年経たずにうつ病が悪化して退職しました。ひきこもり、ニートと散々な日々を過ごし、27歳で履歴書は書く内容がないほどのスカスカ。雇ってくれる人がいないなら自分で雇うしかないな、と。その時、強烈な後押しになったのが、当時お付き合いをしていた女性の一言でした。
ちょうど東日本大震災が起こった後だったのですが、福島出身の彼女は、被災地のことが気になって夜も眠れない状態でした。それでも毎朝身体に鞭打って仕事に出かけていく。心配で声を掛けたら、「あなたが仕事をしないから自分が行くしかない」と言うのです。ハッとしました。
そこから、内閣府の補助金を得て、法人を設立しました。当時の事業は「ネコワーキング」という猫がいるコワーキングスペースの運営。「猫が好き」というキーワードがあるだけで色んな人が集まる。さまざまな属性の人たちが、地域の抱えている課題に取り組んだら面白いチームになるのでは、と装置の一つとして作りました。そこから、内閣府の補助金を得て、法人を設立しました。
当時の事業は「ネコワーキング」という猫がいるコワーキングスペースの運営。「猫が好き」というキーワードがあるだけで色んな人が集まる。さまざまな属性の人たちが、地域の抱えている課題に取り組んだら面白いチームになるのでは、と装置の一つとして作りました。
―― コワーキングスペースの運営から今の事業には、どのようにシフトしていったのでしょうか。
広瀬さん:コワーキングスペースのオーナーの後、コミュニティーマネージャーの仕事をしつつ、地域活性化やメンタルヘルスに関わる仕事もしていました。そこでの共通の学びは、「当事者が変わらなければ何も変わらない」ということでした。
問題の捉え方を見直したり、乗り越え方を自分なりに創り出したりしないと状況は改善しない。結局、根幹は人なのだと。だから人を育成しなければいけないと思いました。ただすべてを自分自身でOJTするのは難しいので、自分の代わりに、と教材づくりに事業をシフトしていった経緯があります。
【革新】「人間の無駄遣い」を何とかしたい
―― 人を成長させていく、というところからスタートしていると思いますが、この事業を通してアップデートさせたいことはどんなことでしょうか。
広瀬さん:27歳でキャリア難民だったころ、経験がないから正社員採用されない、採用されないから経験もつかない、といういつまで経っても出られない負の無限ループ状態に陥っていました。
しかしこれがキャリアに躓いた私個人の問題だけでなく、異分野転職、シニアの再就職でも同じような問題が構造的に起こっていることに気がつきました。まさに「人間の無駄遣い」です。仕事や組織と働く人をかみ合わせていくことで、この問題を何とかしたい、と思っています。
【確信】全ての人に天職を
―― 広瀬さんの「欲しい未来」は何でしょうか。
広瀬さん:「ビジネスボードゲームで『全ての人』が天職に出会え、企業側も適任者に出会える世界にしていく」というのが私たちの創りたい未来です。
能力ややる気があるのに、派遣だから、経歴がないからと断られたり、またシニア層の方は年齢で切られたり、という理不尽なことがまだまだあります。企業側もいい人を見つけられなければ、日本のマネジメントの改善は望めないのです。この状態のままでは、個人も会社も幸せにならないので、変えていきたいと思っています。
教育の場にも「出会いの設計」を
―― 最後に、広瀬さんが今後さらに広域展開を目指していくにあたって叶えたいことや、どんな人に出会いたいか、教えてください。
広瀬さん:GIGAスクール構想で1人1台タブレットが配布されましたが、何をさせてよいか分からない、コンテンツが少なすぎる、という相談も受けるようになりました。ぜひ自治体の教育機関でも使っていただきながら、実証実験としても行っていけたらと考えています。また、日本の働き方やマネジメントをもっとよくしていきたい、という方たちと一緒に協働できればと思っています。
―― 広瀬さん、ありがとうございました!
番組ではその他にも、実際に大手外食チェーンで取り入れられているボードゲームの紹介や綿密なデータに裏付けられた広瀬さんのお話などを聞くことが出来ます。youtubeアーカイブより視聴可能ですので、併せてぜひご覧ください!
次回はDIVE(地域発)コースのスタートアップ、ココホレジャパン株式会社 代表取締役 浅井 克俊(あさい かつとし)さんにご出演いただいた#34の記事です!
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