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【VISIONING VOICE Magazine #18】 「食品ロスをなくして食の未来に貢献する」 〜ICS-net株式会社 代表取締役CEO 小池 祥悟さん〜

NEXs Tokyoが主催する、ローカルおよび国内外の広域展開に挑むスタートアップが”次のステージ”に向かって羽ばたくために、サポートをしてくれる人やファンと繋がる番組VISIONING VOICEをインタビュー記事としてまとめたマガジン「VISIONING VOICE Magazine」 📖

「VISIONING VOICE」はNEXs Tokyoと日経グループがコラボし、次のステージを目指すスタートアップ企業の3つの「カクシン(核心・革新・確信)」に迫り、起業家の想いを深堀りします。
パーソナリティは、長年スタートアップを取材している日本経済新聞社・上田敬さんとNEXs Tokyoコミュニティスタッフ・閏野が務め、番組をお届けしています。

今回はDIVEコース(地域発)のスタートアップ、ICS-net株式会社 代表取締役CEO 小池 祥悟 (こいけ しょうご)さんにインタビューさせていただきました!

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<登壇者プロフィール>
小池 祥悟(ICS-net株式会社 代表取締役CEO)
1975年生まれ。長野県出身。1998年大学卒業後、マルコメ株式会社入社。製造、営業、商品企画、商品開発など、さまざまな部署を経験した後、退職。2017年8月にICS-net株式会社を創業する。食品原材料のマッチングプラットフォーム「シェアシマ」を立ち上げ、株式会社経済界主催のベンチャービジネスコンテスト「金の卵発掘プロジェクト2020」にてグランプリを受賞。
ICS-net株式会社 公式サイト: http://www.ics-net.com/ 
シェアシマサービスページ:https://shareshima.com/


食品ロスが誰かの「おいしい」に

食品製造業界で原料調達分野におけるDXを推進し、売り手と買い手をマッチングさせるプラットフォーム「シェアシマ」を展開しているICS-net株式会社の小池 祥悟さん。余ってしまった原料を必要なところへ橋渡しすることで、食品ロスの削減にも貢献しています。

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小池さん:コンビニの弁当は賞味期限が切れると廃棄されることはご存知だと思いますが、これは食品ロスのほんの一部。現在、家庭から出される食品ロスは1年間で284万トン、事業者系の食品ロスが328万トンで、合計612万トンにもなります。皆さんが普段購入している食品は、売れ行きが悪いと、その食品に使用していた原料のすべてが破棄されてしまいます。一方で食品原料は、新商品の開発などの用途で探している人がいても、ニッチな商品であるため見つけにくいという問題があります。「シェアシマ」は、過剰になったり、余剰が出た在庫を出品登録してもらい、出品者に代行して案内や販売を行って、食品原料を探している人と提供したい人をマッチングさせるプラットフォームです。

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小池さん:食品ロスの内訳は、食品製造・卸売業だけで全体の20〜25%も占めています。私たちはこの分野にアプローチし、2020年4月から7月で約1トンの原料を転売してきました。「シェアシマ」を通して、食品ロスの削減だけでなく、働き方改革、開発支援、地方創生などの問題も解決していきたいと考えています。

【核心】原料を探す旅からの解放

―― 起業された背景について教えてください。

小池さん: 20代の頃から起業には関心を持っていました。大学も農業系の学校を選び、第一次産業で独立したいと考えていたのですが、厳しい現実を見て断念。しかし「食」の世界に身を置きたいと食品会社に就職して、気がつけば20年が経っていました。

―― 20年も経つと起業するにも腰が重くなるのでは。

小池さん:もともと食品メーカーでは開発や調達の仕事をしていましたが、新規軸の商品を作るときは、営業のニーズに合わせて新しい原料から探さなくてはならず、とても大変でした。しかも原料調達の世界はアナログで、ネットには情報がないので、卸問屋に電話で問い合わせたり、展示会に行ったりして探すしかありません。このやり方にずっと疑問を感じていて。もっと便利な方法はないのだろうか、ないのなら自分たちで作ってしまおう、そう思って起業しました。先日、冷凍のアスパラを探しているお客様に対して、会員の中から30分以内に提供者が見つけることができました。困ったときに、できるだけ短時間で問題解決ができるしくみを広めていきたいと思っています。

【革新】DXの推進で働き方改革も

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―― この事業を通して、小池さんがアップデートさせたい対象はどんなことでしょうか。

小池さん:食に関わる人々の働き方を変えていきたい、ということです。この業界は、まだほとんどがFAX主流の紙文化です。2020年度、原料取引においてWebを使っている事業者はほぼゼロでした。しかし、2030年までにはWebで取引される割合を10%まで引き上げていきたいと考えています。私たちの仕事は、食品製造にかかわる一連の流れをわかりやすく、スムーズに、かつきちんとした品質でお届けするところまでで完結するのです。「シェアシマ」を通して、サービスの一環としてDX化についても提案できればと考えています。

―― 食に関わる問題の解決だけでなく、働き方の部分でも関わっていくということでしょうか。

小池さん:商品開発に携わる方々は、毎日新しい商品をつくったり、新しい原料を探したり、味を決めたり、賞味期限を考えたり、やらなければならないことがたくさんあります。その中で、ひとつでもDXを推進することで、新たな仕事に取り組むことができるようになります。日本全体がそういう文化にシフトしていくように引っ張っていきたいと思っています。

【確信】捨てる社会から活用する社会へ

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―― 小池さんの「欲しい未来」は何ですか?

小池さん:「食品を捨てない社会にする」ということです。実際、食品メーカーでは賞味期限が残っていても、原料の段階で商品にするにはリスクの高そうなものは捨ててしまいます。この決断はブランドを守る上で一つの選択肢ではあると思います。しかし、日本は食品自給率が低いのに食品廃棄率が高く、廃棄率も高いけれど自給率も高い他の国とは事情が異なります。二つの割合が相反しているのは、実は日本がトップ。食品自給率が低いのであれば、それなりに食品を活かす方法や考え方があるのではないかと思いました。異物混入の可能性によってリスクが上がってしまうのであれば、もう一度検査にかけることで安全性が確かめられるかもしれません。捨てるのではなく、どうすれば活用できるのかを考えることができるような日本であってほしいと願っています。

原料の分野から文化を変える

―― 最後に、小池さんが今後さらに広域展開を目指していくにあたって叶えたいことや、どんな人に出会いたいか、教えてください。

小池さん:今はまだ従業員7人で事業をしていますが、本格的に人員の募集を考えているところです。私たちの事業に共感していただける方、同じ思いがある方はぜひ気軽にご連絡をいただければと思います。

―― 基本はBtoBのビジネスだと思いますが、一般の方に活動を伝えたり、文化を変えたりするような活動もされているのでしょうか。

小池さん:農林水産省が主催するフードテック官民協議会で、サーキュラーフードと呼ばれる循環型の食品の開発に参加しています。残ったパンから製造したビールなどは、一般の方にも認知されてきましたが、今後も原料の調達分野で貢献していきたいと思っています。

当日の写真

―― 小池さん、ありがとうございました!


番組ではその他にも、サービスの紹介VTRなどを観ることが出来ます。youtubeアーカイブより視聴可能ですので、併せてぜひご覧ください!

次回はJUMP(東京発)コースのスタートアップ、株式会社ビズパ 代表取締役CEO 石井 俊之(いしい としゆき)さんにご出演いただいた#43の記事です!

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