ミステリ小説「大学生がバズり動画を撮りに都市伝説の現場へ行ってみた。」第6話
8後半
「お風呂ありがとうございましたー」
23区内ワンルーム賃貸ではあり得ない、足を余裕で伸ばせる広さの湯船を堪能して俺が釈氏家の一階のリビングルームに戻ると、木目の大テーブルの上はきれいさっぱり片づけられ、煌々と光る照明の下、そこにあるべき釈氏家の人々の姿もどこにもなかった。
戸惑ってあたりを見回すと、リビングルームからサッシを抜けて直接出られる庭のデッキ上で、グラスを掲げている背高の人影が声をかけてくる。
「小中くん、こっちこっち」
いつの間に起きたのだろう、那由多さ