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<対談>門馬貴裕氏&田代英治 企業を成長に導く『雇用しない』新しい人材活用法について考える

新しい働き方や、会社組織における新しい人材活用の方法について情報を発信している田代コンサルティングのnote「新しい働き方研究会議」。
今回は、「人事・労務分野のプロ人材と一緒に、クライアント企業の課題を解決する」というビジネスを展開されている「株式会社コーナー」の門馬代表と、弊社代表の田代との対談をお届けします。

■「人事のプロがいたら、もっと企業が成長するに違いない」そんな想いが、コーナーをはじめた理由

門馬さん(以下、敬称略):田代さん、はじめまして、門馬と申します。どうぞよろしくお願いします。
 
田代:田代と申します。よろしくお願いします。
 
門馬:簡単に自己紹介をさせていただきます。私は、株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)に新卒で入社し、中途採用の支援を主に担当しておりました。約11年間企業の採用を中心に人事課題と向き合う中で、経営や事業の前進と人事は直結していると感じていました。人事を通じて人・組織に関する本質的な課題を解決するためには、各企業に人・組織に詳しい人事の方々が入ったほうが、会社や事業がより良くなるのではないかと考えるようになりました。

とはいえ、人事部門は営業や生産など数字をあげる部門ではないため、ポストが少なかったり、大手企業はジョブ型よりローテーション型が多いため、人事が世の中に急に増えることはない。当時は人事や経理といったコーポレート部門は複業しづらい風潮があり、特に人事は、社内の機密情報を扱っているため他の会社で複業で働くというイメージをしづらかったと思います。しかし「果たして本当にそうなんだろうか」と疑問を持つようになり、人事のスキルシェアサービスを探しましたが見つけられず。「だったらやってみればいいじゃないか」と思い立ち、2016年にコーナーという会社を立ち上げました。

田代:私も門馬さんとまったく同じような想いで独立したと言えるかと思います。私の場合は重厚長大型の企業にいましたが、ローテーションがあり、営業に行ったり、管理に行ったりして、最終的に人事で仕事をしました。私の場合は会社に言われるままではなく、自分の価値観で、自分ならどうするのかをよく考えて主体的に仕事ををやってみたいというのがありました。

幸いなことに他社での複業を認めないという会社ではなく、もう少しフレキシビリティのある上司の下で仕事をしていたので、そういう点ではすごく恵まれていました。「会社を辞めて業務委託契約をしてもいいけど、うちの会社の面倒も見てほしい」と言われ社員だった会社と繋がりながら、他の会社の人事の仕事をやってきました。

そのため、御社のサービスの資料を拝見して、これは本当に世の中に必要とされているサービスだと思いました。人事の課題は、社内の人材だけではなかなか解決できない。さりとて外部には、どういう人が居るかわからないし、居たとしてもその人が本当に希望する業務をやってくれるのだろうか、という不安もある。

さらに費用もわからないし、利用経験がないと、サービスを利用したらいいかどうかも分からないと思います。それが御社の方で分かりやすくサービスを組み立てられているので、人事の方々も喜んで利用するのではないかと思いました。これはお世辞抜きで本心から思っています。
 
門馬:とても嬉しいお言葉をありがとうございます。
 

■プロジェクトマネージャーとしてプロジェクトに関わり、企業の成長をサポート 

 ――企業の採用や人事をサポートされている立場から、今企業が求めているのはどんな人材でしょうか?
 
田代:これは、昔から言われていますが「自律型人材」でしょうか。ここ20年ほどあまり変わっていないように感じます。自律型人材を育てることも大事ですが、育成するためには指示をしなければならない。そうすると自律性が欠けてしまう。そこで、自律型の素養は生まれつき備わっているのか、会社に入ってから身につけられるのかという点は各社難しく、まだ答えが見つかっていないと思いますね。門馬さんは、自律性や見極め、教育をどのように捉えられているのかうかがいたいと思いました。

「自律型人材とは?」
https://www.jmam.co.jp/hrm/column/0010-ziritsu.html

JMAMのホームページへリンクします

門馬:ありがとうございます。非常に難しいですね。育てる以前に素養があるのか、もっと簡単に言えば向いているか向いてないか、皆さんやってみないと分からないと思います。

例えば「パラレルワーク」という方法。素養とポテンシャルがあって、やりたい人がいたら背中を押して差し上げることもあります。もちろん相性が合わない場合もあるかもしれません。それでも「やりたいことを実現する機会」を提供したり、気づきを持ち帰っていただきたいと考えています。

■プロ人材(登録者)の成長を後押ししてくれるコンサルタントの存在

――どういう方がコーナーさんのサービスに人材として登録されているのでしょうか?
 
門馬:年代では主に30代〜40代と知見・経験が豊富な方にご登録いただいています。一番多いのは人事経験をお持ちの方、次に多いのが人材サービスの経験者です。他にも社労士の方、人事コンサルの方、人材・組織開発の経験をお持ちの方などかなり幅広くご登録いただいています。
 

田代:労務も少ないですがあるんですね。当社の主な領域は人事制度と労務関係です。最初の入り口の依頼として多いのが人事制度ですが、お話を聞いてみると実は労務に問題があったということが結構あります。人事制度よりも労働時間の管理やハラスメント対策を先にした方が良いケースが結構あります。

門馬:そうですよね。当社の場合、企業がパラレルワーカーに任せやすいと最初に想起いただくのは採用系の業務です。例えば採用におけるスカウトサービスの運用を誰かにお願いすることは想像しやすいからだと思います。しかし、採用後に育たない、採用しても辞めてしまうことがそもそもの問題です。結果的に人事制度や人材開発、労務の仕組みを見直していくことになります。
 
田代:本当にそうだと思います。採用が大変とか、人材がいないとか、一次的な課題はそこだと思うんですが、突き詰めると入社後に次から次へ辞めてしまうのは労務に問題があったり、教育に問題があったり、中で起こっている問題があると思うのですが、そこができる人がいないと厳しいですよね。
 
門馬:おっしゃる通りです。例えば潮流である人的資本開示の文脈で、有価証券報告書に備えて準備する際に「どこから着手したらよいのか」という問題にも繋がっていると思います。人事データを整備するにあたって、労務系データの担保ができないためシステムから考えなければならない。けれどもどこから手をつけたらいいかと困ってしまうことは人事制度や労務周りにはよくありますよね。

田代:本当にそうですよね。人的資本開示と人的資本経営が今注目されていますから。どこに問題があるのか正しく理解することが大事なんだと感じますね。
 

■プロジェクトの成功には「翻訳者」が必要

―― 御社のサービスを利用されている事例などをおうかがいできますか。
 
門馬:採用支援や人事制度構築・刷新ということは数多くやらせていただいてますが、最近では人的資本開示に向けて人事データ基盤を構築するプロジェクトが複数走っている状況です。労務部門の方々と勤怠や給与データを連携しながら、データを収集し、分析し、どう成形するのかパラレルワーカーと企業と一緒に考えています。その他の導入事例の一部はオウンドメディア「パラれる」でも公開させてもらっています。

門馬:多くはないのですが、事業会社の人事側に知見がないことで社労士や人事コンサルタントに依頼をしても進めたい方向に進まないという相談を受けて、人事コンサルの経験者や社労士の知見をお持ちのパラレルワーカーに参画いただく労務系のプロジェクトも実施しています。

田代:それはすごく大事ですね。私の今の立ち位置はコンサル会社側ですが、私がアドバイスしたり、申し上げていることが伝わらなかったり、理解いただけていると思い進めたら、実は理解していなかったという事が何回かありました。結局、私が相手側に踏み込み、人事部の人たちと一緒に仕事しているという状態になるんですよね。

門馬:それは人事部の方にとっても助かりますし、すばらしいですね。
 
田代:私の場合はクライアントが小さな会社だったので仕方ないんですけど、御社のサービスは役割が切り分けられて、ピッチャーやキャッチャーなど役割分担がはっきりしているので、いい仕事ができると思います。クライアントとはキャッチボールができないと困ってしまいます。自分が投げたボールを向こうで受け取ったままになっているような感覚になるんですよね。疲れますし、あまり良いことでもないと思っています。
御社のサービスをうまく活用されて、事業側にも分かる人がいて、プロジェクトをいい方向に進めていくのが理想です。こういった形ができるのは、コーナーのサービスがあってこその話だと思いますので、一貫して良いサービスだと感じたところです。

門馬:ありがとうございます。人事コンサルタントの方々や社労士の先生方と協業して良いモノをつくっていくという意味で、翻訳をするような立ち位置で入らせてもらっているのだと、田代さんのお話聞いて改めて理解が深まりました。

田代:本当に翻訳だと思います。言葉だけでなくマインドの翻訳もあると思うんですよね。自分たちの取り組みに「何やってるんだろう」と挫けることもあると思います。そういう時は、鼓舞してプロジェクトを前に進める必要もある。スキルとマインドなど色々目くばせしながら日々格闘するのが今の私の仕事なので、規模が大きいか小さいかだけで、一緒だと感じました。ちなみに、御社のサービスを利用されるのは、どういう業種の企業が多いですか?

門馬:本当に幅広い業種の企業様からご依頼いただくのですが、強いて申し上げると、IT・通信・インターネット系の企業はエンジニアやWEBデザイナーと業務委託に慣れているため、「人事部門の業務委託、たしかにありだね」と思っていただきやすいようです。業種・業界に関して、それぞれ特有の傾向はありますが、押しなべてどこが多いということはないですね。

■チャレンジする人を増やすことが日本の課題

―― 新しいチャレンジをする人を増やすにはどうしたら良いと思いますか?

田代:本当にすごく難しいお話しですね。途中で私が質問を投げかけました自律型人材と近い話ですが、変わることが恐いと思う人はまだまだ多いと思います。コロナ禍でテレワークが加速し、自由な働き方でキャリアアップして成長したいという考え方ができる人が生まれている一方で、まだ変わらずにいたいという50・60代は多いと思います。そのため、言葉を選ばずに言うと60代位の人が早く引退して後進に道を譲るということだと思います。年齢で区切るのは嫌いですが、会社側の制度として役職定年を設け、若い人と一緒に取り組みたいという人を残す形にする。それには経営判断が必要なので、世の中に訴え続けていく事が大切ですよね。世代交代が進まないと、いつまで古い体制を維持するのかと疑問に思います。

もう一つは都市部と地方の格差も課題だと思っています。田代コンサルティングでは今地方創生に関する取り組みを考えています。私の実家がある九州の過疎地域の人達と、東京の人の格差みたいなものを放置したままにしているのは、これはちょっとよろしくないな、という問題意識はありますね。それに対して何ができるか試行錯誤していますが…。
御社のクライアントは会社から営業できる都心が多いですか?
 
門馬:支援頂くパラレルワーカーにはフルリモートでご対応いただいているため、沖縄から北海道まで地域に関係なく全国対応をさせていただいてますね。

田代:地方をどう活性化するかは、日本が今すぐ取り組まないといけない課題だと思います。地方は働く人が少ないので会社を成長させるための採用や労務など、部署を御社が丸ごとパッケージで支援できるとしたらすごい価値があると思います。 地方でも御社のサービスを利用はできるのですね。
 
門馬:地方でも場所に関係なく私たちのサービスは利用可能です。

田代:正直我々にはリソースがなく、やりたいこともできていないのですが、御社のサービスが伸びていかれたら、本当に世の中変わるんじゃないかと思います。

門馬:ありがとうございます。やはりサービスにご登録いただいているパラレルワーカーの方々が本当に素晴らしい経験をお持ちなので、私たちが助けていただいている立場でもあります。

田代:登録している方の力を引き出したりと仕組みがすごいですよ。私にその発想はとてもできなかったですから。

門馬:ありがとうございます。「コーナーに営業は全部任せます」と言ってくださるパラレルワーカーもいらっしゃり、コーナーが営業をし、パラレルワーカーはクライアント支援をする形はある種シェアリングだとも思いますね。

田代:本当にそうですね。改めて、コーナーさんのサービスが良いものだと感じましたし、これからサービスが伸びていくことを楽しみにしています。本日はお話のお時間をありがとうございました。

門馬貴裕氏(もんま たかひろ)/株式会社コーナー 代表取締役
新卒で株式会社インテリジェンスに入社。人材紹介部門の法人向けコンサルタントや、ファッション業界向け新規事業責任者として企業の人事戦略、採用支援に一貫して関わりトップコンサルタントとして活躍。その後は人材紹介部門にてマネージャーに従事、兼務にて100名超の新入社員研修等も行う。2016年に同社を退職し、株式会社コーナーを創業。

・サービスサイト:https://pws.corner-inc.co.jp/service-company/
・株式会社コーナー会社HP:https://www.corner-inc.co.jp/
・コーナーが目指す「これまでにない”組織デザイン”への挑戦」:https://www.wantedly.com/companies/company_9620739/post_articles/486884