新聞紙全体から社会を俯瞰してみてみよう②
本日も、新聞紙全体から世の中を俯瞰してみましょう。
8月31日付、日経新聞の主な記事を列記すると以下の通りです。
この問いに応えるためには、
ここ数年の目先の現象にとらわれることなく、古代から近代までの、
まっとうな歴史認識のもとで、日本はどうあるべきか、
一人ひとりが考え抜き、一人の人間として自立して、人と関わりながら
対話しながら、勇気をもって行動していくことでしょうか。
なぜ、誰もが「まっとうな世界観、国家観を持つべき」なのか、
日経新聞を読むことのすすめにもつながるのですが、
私が信頼する国際政治学者である京都大学名誉教授の中西輝政先生の思想の影響に因ることが大きいからです。
中西先生の京都大学講義録をまとめて2011年に刊行した改訂本である
『日本人が知らない世界と日本の見方』(PHP文庫)が良書です。
サミュエル・ハンチントンの「冷戦後の世界は諸文明の対立・摩擦・衝突で彩られる」という『文明の衝突』を取り上げ、諸文明とはキリスト教文明、イスラム文明、ヒンズー文明、中華文明、ロシア正教文明、そして日本文明に目を向けます。
中西先生は、これからの21世紀の時代は、グローバリゼーションが終わり、共存とともに対立を繰り返す「文明」ではなく「国家」が再び重要となると分析されています。
インターネットは、アメリカ合衆国・戦略空軍通信司令部が作り出したシステムであり、核戦争が起きた時に、全世界のアメリカ軍が通信で途絶えないために作られましたが、現在では、無料で世界に開放することがアメリカの国益に大いに役立っています。
そうなると
アメリカの管理者を排した自己管理を原則とした「Web3.0」が待たれるところですが、紆余曲折が予想されます。
なぜなら、
20世紀からは、イギリスに代わりアメリカが世界を牛耳っていますが、
中国勢が脅威となれば、ファーウェイ、Tik Tokを叩きデジタルの盟主を
明け渡す気配はありません。
こうしてみると日本は、2つの選択肢があると中西先生はおっしゃいます。
日本はもう頑張らず、
世界の第3グループに脱落しても、良いのではないかというもの。
もう一つは
「一超」は無理だとしても、「他強」の第2グループには何としても残るんだ、と歯を食いしばって頑張るというものです。
以上、大学生に講義した内容であり、
ご一読をおすすめします。
【人口減少】出生数最少の37万人 1~6月 年70万人割れ、早まる恐れ
2023/8/30付 日本経済新聞 朝刊
<引用>
【経済・景気】円の実力、53年ぶり低水準 家計負担は20万円増主要通貨で独歩安
2023/8/30付 日本経済新聞 朝刊
<引用>
円安で増えるはずの輸出も伸び悩む。
22年はコロナ禍前の19年比で対ドルで20円ほど円安が進んだが
日本貿易振興機構(ジェトロ)によると輸出数量は3%減った。
海外進出の影響が大きく、経済産業省によると21年度の国内企業の海外生産比率は26%と過去20年で約2倍に高まった。
輸入価格が上がった半面、輸出が伸びない結果、
海外との貿易における国の稼ぎやすさを示す「交易条件」は95年4月と比べ約48%悪化している。
国内の富が国外に流出しやすい、つまり円安が進みやすい環境にある。
変化の兆しはある。
足元ではインフレ率が米国を上回り企業は賃上げに動き始めた。
投資家からも「インフレ下では人手不足も相まって企業は生産性の向上に取り組まざるを得なくなる」(英ケイガン・キャピタルの中川成久最高投資責任者)と日本企業の変革に期待する声が出始めた。
物価と賃金上昇の好循環が実現すれば投資対象としての国内の魅力は高まる。投資が増えれば賃上げと物価上昇につながり、円の実力が回復する
きっかけになる。
中国小売り大手、閉店加速 家電・国美は9割減へネット通販、体力削る
2023/8/30付 日本経済新聞 朝刊
<引用>
【外交】中国は理不尽な迷惑行為をやめさせよ
2023/8/30付 日本経済新聞 朝刊
<全文掲載>
東京電力福島第1原子力発電所から処理水が放出された後、原発事故の被災地などに中国からの嫌がらせ電話が相次いでいる。
中国にある日本人学校は投石まで受けた。
中国政府には、自国民による理不尽な嫌がらせ、危険な行為をやめさせる
強い措置をとる義務がある。放置は許されない。
度重なる日本語、中国語の嫌がらせ電話は、原発事故で長期避難を余儀なくされ、ようやく帰還した住人も多い福島県に数多くかかっている。
同県に住む人々は、原発事故後の処理では完全に受け身の被害者である。
漁業関係者も放出に一貫して反対の立場だ。
中国からの嫌がらせ電話は、被害地域に追い打ちをかける人道にもとる行為だ。これは「言葉の暴力」でもある。中国外務省が「状況を把握していない」とコメントしたのは、極めて無責任だ。
中国の日本人学校に石やレンガ片が投げ込まれる危険な事態も放置できない。2012年秋、沖縄県の尖閣諸島の国有化を契機に起きた激しい反日デモの際は、中国にある日本の工場が襲われ、火をつけられる深刻な事態にまで発展した。そのような蛮行を繰り返させてはならない。
中国政府は近年、国際機関の意見をある程度、尊重する姿勢を示していた。だが今回は国際原子力機関(IAEA)が「国際的な基準に合致している」との見解を示しているのに、強く反対している。
政治的な思惑が先行する非科学的な態度と言わざるをえない。
日本政府は、国際社会に理を尽くして丁寧に説明し、幅広い理解を得る努力を続けてほしい。それが中国の宣伝戦に対処する有効な手法である。
一方、中国側には粘り強く直接対話を促す必要がある。中国が日本からの水産物輸入をとめた影響は大きく、対中感情の悪化も否めない。
だが、いま必要なのは冷静さだ。決して感情的な報復合戦に陥ってはならない。
この8月は、日中両国が1978年、平和友好条約に署名してから45年の節目である、本来、双方が腹を割って未来を語り合う好機だった。
だが、事態は楽観を許さない。公明党の山口那津男代表は中国訪問を取りやめた。
それでも今後、インドや米国で開く国際会議では、岸田文雄首相と中国の習近平国家主席が同席する機会がある。
両首脳には、打開の道を探るべき責任がある。
中国メディア、日本に矛先
原発処理水批判、当局は黙認 科学的根拠の投稿削除
2023/8/30付 日本経済新聞 朝刊
<引用>
中国上海市のすし店のメニュー表。
日本産のネタにシールが貼られていた(28日)=共同
「日本は中国を打ち負かすため卑劣な手段をとっている」。
中国共産党系メディアの環球時報は29日付で、こう題した社説を載せた。
中国にある日本人学校への投石などの嫌がらせに抗議する日本を「加害者が被害者になりすましている」と非難した。
同紙は「前例のない環境リスクを引き起こしたのは他の誰でもなく日本だ」と主張。「日本当局が日本社会の反中感情と中日両国民の対立を意図的にあおっている」と強調した。
処理水放出に関する「偽情報」対策などとして、日本政府が2024年度予算案の概算要求に盛り込むおよそ700億円の事業もやり玉に挙がった。
中国紙の第一財経日報(電子版)は24日、予算規模が処理水放出そのものの費用を大幅に上回る点を問題視した。
「日本政府は核汚染水の有害性がより低い処理法を採用するよりも、
広報活動に資金を費やしたいと考えている」と伝えた。
名門・清華大学が処理水放出から240日後に放射性物質が中国沿岸部に行き渡ると試算した結果は23日、中国の短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」で話題になった。
中国国営中央テレビ(CCTV)など大手の中国メディアも取り上げた。
こうした報道が日本への嫌がらせを誘発した恐れもある。
中国のSNS上では日本の飲食店とみられる場所に電話をかけ、
中国語でまくし立てる人物の動画が拡散した。
中国政府も日本批判のトーンを弱めていない。
外務省の汪文斌副報道局長は29日の記者会見で「日本が一方的に汚染水放出を強行し、各国の強烈な怒りを招いたのが今の事態の根本原因だ」と述べた。
中国のSNS(交流サイト)では
日本への批判や日本産品の不買呼びかけが続く一方、処理水放出の科学的根拠を説明した投稿やアカウントは削除された。
共産党の中央宣伝部などが情報統制に関わっているとみられる。
中国は不動産不況や若者の失業率悪化、地方財政の悪化に直面する。
国民の不満は高まりつつあり、習近平(シー・ジンピン)指導部が
ガス抜きに処理水問題を利用している可能性は否定できない。
中国国内の日本企業にも影響が及び始めている。
北京市内の日本料理店の経営者は「夕食時の客数の落ち込みが大きい」と明かす。別の経営者の北京市内の日本料理店は処理水の報道が過熱する前に比べて売り上げが半分近くまで落ち込んだという。
日本人学校はまもなく夏休みが終わり、2学期が始まる。
山東省青島市や江蘇省蘇州市の日本人学校では石や卵が投げ込まれる被害が出た。日本政府は児童らの安全確保のため警備体制を強化している。
日本政府が沖縄県・尖閣諸島を国有化した2012年のような全国規模のデモは、今のところ発生していない。
危害を受けた日本人や施設を壊された日系企業の事例も報告されておらず、北京市内の街中の雰囲気は放出前とさほど変わらない。
もっとも、9月は抗日戦争勝利記念日である3日、満州事変の発端である柳条湖事件が起きた18日など反日機運が高まりやすい。
日中外交筋は「不穏な動きが表面化しないか警戒し続ける」と話す。
FINANCIAL TIMES BRICS「恨み」が共通軸インターナショナル・ポリティクス・コメンテーター ジャナン・ガネシュ
2023/8/30付 日本経済新聞 朝刊
BRICSの顔ぶれは民主主義国から独裁国家まで多様だ=ロイター
会議に参加した国の顔ぶれは民主主義国(インド)、独裁国家(中国)、政教分離を徹底した世俗国家(ブラジル)、政教一致国家(サウジアラビア)、豊かな国(アラブ首長国連邦=UAE)、貧しい国(エチオピア)、旧帝国(ロシア)、旧植民地(アルジェリア)と多様だ。
最初の2カ国はヒマラヤ山脈の国境沿いで時折、互いに戦闘が起きることで知られる。参加国の中で領土が最も広いロシアと中国は、マルクス主義の解釈をめぐって冷戦中に対立した。
これほどまとまりを欠いた国の集まりが、「国家連合」になりうるのだろうか。BRICSはすでに公式サミットを15回開催しているが、それだけの回数を経て合意できた世界観はどういうものなのだろうか。
米国流の自由市場主義の枠組み「ワシントン・コンセンサス」はその名を冠する米ワシントンでさえ人気を失っているが、少なくともその概念は説明できる。
BRICS、またはグローバルサウス(南半球を中心とする途上国)はどのような枠組みを標榜しているのだろうか。
もし自由貿易に積極的でない場合、世界最大の輸出大国である中国は参加国としてこの問題にどのような立場を取るのか。
いずれの問いも適切な答えは見つからないはずだ。
なぜなら、多様なBRICSの国を結びつけている共通点があるとすれば、それは「恨み」だからだ。
西側の優位に対する怒り、過去の屈辱に対する鬱憤だ。
そして、政治と人生を突き動かす力として、恨みはあまりにも過小評価されている。
膨大なエネルギーを生み出すとされる核融合に取り組んでいる物理学者には失礼かもしれないが、活用可能となった場合に宇宙で最も強力なエネルギー源があるとすれば、それは人間の恨みだと筆者は考える。
哲学者のニーチェは恨み(ルサンチマン)が世界を動かしていると論じた(ニーチェは第1次世界大戦の敗北で募った恨みがナチスドイツの台頭へとつながり、同胞のドイツ人を暴挙に駆り立てたことは見届けられなかった)。
(22日付)
【デジタル・IT】
〈Google25 テック覇者の未来〉(中) 起業2000社、革新の礎に 人材の「回転扉」きしみも
2023/8/30付 日本経済新聞 朝刊
<引用>
ノーム・シャゼール最高経営責任者(CEO)は米グーグル出身だ。
17年には生成AI時代の扉を開いた論文を執筆した。
グーグルは自他共に認める「技術者天国」だが、「生成AIを早期に普及させるには自ら会社を立ち上げるのが得策だ」と考えて独立した。
257社をM&A
同氏だけではない。
論文の筆者8人全員がすでにグーグルを去り、大半が起業した。
こうした動きは生成AIの分野にとどまらない。
スンダー・ピチャイCEOは「出身者が立ち上げたスタートアップは2000社に達する。クラウド事業の顧客になったり戻ってきたりするし健全な循環だ」と語る。
人材の「回転扉」のような出入りはテクノロジー産業の活力を生んできた。「社員に就業時間の20%を本業以外に充てることを促している」。
上場した04年、共同創業者のラリー・ペイジ氏は株主への書簡で訴えた。
自主性を重んじ、挑戦しやすい企業風土をつくったことで業界でも群を抜く人材輩出企業になった。
社員の独立に寛容でいられた背景にはM&A(合併・買収)による人材や技術の取り込みが容易だった事情もある。
米クランチベースによるとグーグルは昨秋までに257社を買収。
非公表の案件も含めるとさらに多くなる。
ルース・ポラット最高財務責任者(CFO)は「M&Aは人材などの取り込みに有効で内部成長を補完する」と語る。
【金融】中外時評銀行と証券は「ルビコン川」渡れ 上級論説委員 小平龍四郎
2023/8/30付 日本経済新聞 朝刊
<引用>
提携に伴い山陰合同銀は15年設立の証券子会社を清算、証券や投資信託の口座を野村に移した。
コンサルプラザで合同銀の行員と野村の出向者が協力して株式や投信などを販売し、手数料を案分する体制とした。
山陰合同銀の山崎徹頭取が「ルビコン川を渡った」と評する提携から3年。証券関連の預かり資産は当初の5000億円から7000億円に増えた。
「5年で8000億円」が目標だったというから、これまでのところ提携は期待どおりの成果を上げていると言ってよい。
以上
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