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週刊ニュースdeディベート(β) 第2号 北京オリンピックの外交的ボイコットでディベート!職場のコミュニケーションに不満、ツイートが他の人に届かない、他色々

// 週刊ニュースdeディベート(β)
// 2022年1月30日 第2号
// ニュースつまみ食い
// ニュースdeディベートについて
// 今週のお題「北京オリンピックの外交的ボイコットでディベート!」
// Twitterで議論は可能なのか/議論のためのツイートチェックリスト
// 投稿コーナー(職場のコミュニケーションに不満、ツイートが他の人に届かない他)

感想やお題に対するご意見などは
#newsdedebate
(ディベートは相手の意見を受け止める物なので、私たちのアカウントから論破!とかそういうことにはならないのでご安心ください。反応させて頂きます。)

こんにちは。ディベート賛否さんです。
先週も様々なニュースがありましたね。

●オミクロン株の亜種を引っ張り出すので各種メディアは大忙しだったようです。
次の株が出てくるのも時間の問題でしょう(苦笑)

●ロシア・ウクライナ問題もいよいよ一触即発というところまで来ました。

歴史の教科書で見かけたNATOもまだまだ現役なのですね。

●菅直人元首相の「ヒトラー」発言が炎上していましたね。
「ゴドウィンの法則」の重要な事例と言ってよいでしょう。(https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B4%E3%83%89%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%81%AE%E6%B3%95%E5%89%87)によると、

何かをヒトラーと類比することそのものを批判するものではない。フランス語圏では「ゴドウィン点」と呼ばれ、議論でヒトラーやナチスを引き合いに出す人が出てきたら、その議論は「ゴドウィン点に到達した」とのように用いられる。

インターネット上での議論が長引けば長引くほど、ヒトラーやナチが引き合いに出される確率は1に近づく。

それでは、今週もよろしくお願いいたします。

0.ニュースdeディベートについて

「ニュースdeディベート」も二回目を迎えました。繰り返しになりますが私たちがどういった思いでこの空間を作ったのか説明させてください。

 SNSを中心に情報が氾濫する現代社会、誰が正しいことを言っているのかわからない。多くのニュースメディアが、閲覧数を稼ぐために過激な見出しや極端な論調で人々を煽るのが日常風景となりました。こんなにも「自分の意見」を持つのが難しく「何をしていいか」分からない状況は歴史上類を見ません。

 私、ディベート賛否さんは大学時代、英語ディベート部に所属し、議論の力を磨いてきました。そこで身につけた「ディベート力」は社会に出た今でも、あらゆる場面で役に立っています。

 ディベートは教育現場や企業研修などで徐々に導入されていますが、まだまだ一般的には認知されておらず、もったいないなと感じています。日々の生活で納得できる決定をし、日々のニュースを読み解くには「ディベート」の力が欠かせません。

 「ニュースdeディべート」は皆さんがディベーターです。皆でディベートをしようという壮大な試みなのです。

 ディベート経験者しか知らない様々なノウハウを、日本社会に浸透させる試みなのです。あなたが「ディベート力」という「武器」を手に入れる場なのです。ディベートなんぞできるようになって何の役に立つのか?そんな指針すらもいつの間にか手にしているでしょう。

 毎号、その週に起こった主要ニュースを取り上げます。その中から特に賛否が分かれそうな物を題材とし、次の1週間で皆で議論していきましょう。

1.今週のディベーダブルなお題

北京オリンピックの外交的ボイコットでディベート!

北京オリンピックまであと少しとなってきました。いざ開幕となれば選手の活躍に沸くのが五輪ですが、開幕前に揉めるのもまた五輪の風物詩となってきています。各国では開催直前に反対派による大規模なキャンペーンが繰り広げられたり、最近ではコロナ対策を巡る議論もありますね。そんな中、今回の北京五輪は「外交的ボイコット」が話題になっています。何なのか?どんな論点があるのか?一緒に見ていきましょう。

◆外交的ボイコットとは
外交的な用語としては明確に定義されていないものの、外交使節団を五輪に派遣しないことをさす場合が多いようです。五輪には各国の首脳や閣僚が派遣され、外交の舞台となってきた経緯がありますが、こうした使節団を派遣しないことによって、開催国に対して祝意を示さないという姿勢を開催国に対して示すことができるとされています。

◆過去の事例
ロシアや中国などで開催される際に米国等が主導して呼びかけられてきた経緯があり、2014年のロシア・ソチオリンピックでは米国・ドイツ・フランスの「首脳が出席しなかった」事例があります。2008年の北京五輪の際にもチベット等の人権問題を理由に呼びかけられましたが、最終的には外交的ボイコットには至りませんでした。

 1980年のモスクワ五輪では米国等の西側諸国を中心に50か国もの国々が選手派遣を見送ったこともありました。4年後の1984年米国・ロサンゼルス大会では対抗措置として東側諸国に選手派遣見送りの動きがあり、ベトナム等が選手を派遣しませんでした。これらが冷戦下で行われた、外交的ボイコットより厳しい「選手団派遣停止」の措置です。

◆2022北京五輪を巡る現状
選手に対する人権問題をきっかけに米国主導で外交的ボイコットが呼びかけられています。2021年米国が先駆けて外交的ボイコットを発表すると、英国・カナダ・豪州が続きました。ニュージーランドも閣僚派遣を見送ることを決めましたが、理由を「新型コロナ対策のため」とし、中国に一定の配慮を見せた形です。アジアでは日本・韓国等は外交的ボイコットを行う決定はなされておらず、消極的な形で議論が行われています。一方、ロシアでは「外交的ボイコットは間違い」としており、開催国中国を支持する形となっています。これに対し、中国は「オリンピックを政治化するな」としており、IOCもこれに同調する意見を出しています。また、スポンサーに対するボイコットは、米国を含め、政府としては要請をしないことが発表されています。

 ここまで外交的ボイコットの経緯や現状を見てきました。実際に「日本はどうすべきか?」を考える際、どのような論点・利害関係者を検討すればよいのでしょうか?何を基準に決めればよいのでしょうか?一緒に確認していきましょう。まずは「なぜオリンピックで政治的なアクションを取る必要があるのか」を考えたいところですが、そのためには「オリンピックとはそもそも何か」「どんな意義があるのか」から見ていく必要があるでしょう。

◆ディベート賛否さんが斬る!オリンピックの論点
~オリンピックの理念~
オリンピック憲章には、「オリンピズムの目的は、人間の尊厳の保持に重きを置く平和な社会の推進を目指すために、人類の調和のとれた発展にスポーツを役立てることである。」(第2条)「スポーツをすることは人権の1つである。すべての個人はいかなる種類の差別も受けることなく、オリンピック精神に基づき、スポーツをする機会を与えられなければならない。オリンピック精神においては友情、連帯、フェアプレーの精神とともに相互理解が求められる。」(第4条)などと定められており、「平和」「人権」などを尊重しながら、スポーツを通して人類の発展に寄与することを狙いとしています。

 オリンピック憲章第5条には「オリンピック・ムーブメントにおけるスポーツ団体は、スポーツが社会の枠組みの中で営まれることを理解し、 政治的に中立でなければならない。」とされており、IOCは五輪の政治化には基本的に反対のスタンスと考えられます。

※参考:オリンピック憲章へのリンク
https://www.joc.or.jp/olympism/charter/

~オリンピックの実際~
しかし、オリンピックは実際には各国が様々な思惑をもって参加する政治的なイベントと化していることも事実であり、外交の場としても機能しています。また、オリンピックは開催国を定めて行われる以上、政治的に中立な場所で開催されることはあり得ません。特に、開催国が自国と敵対する国である場合には、様々な政治的措置を講じて両国間の力関係を変化させる好機と捉えられている側面もあるでしょう。

 冷戦は終結したものの、自由・民主主義と資本主義を貫く西側諸国と、反対の価値観を持つ東側諸国の対立は継続しています。特に近年中国では、共産党独裁政権による人権侵害を巡る問題で対立を深めている状況で、今回は西側の主要国が開催国である中国と対立する構図になっています。

~選手への影響は~
オリンピックが一定程度政治化されたイベントではあるものの、本質的には世界の選手が一堂に集結する4年に1度の貴重な機会であることに違いはありません。多くの選手は政治的意思とは無関係に勝利に向けて練習を重ねており、その努力が公平に報われる場の提供を五輪には求めているでしょう。一方、政治的意図のアピールを目的とした選手も一部にはおり、過去もたびたび議論を呼んでいます。

~国際社会が団結する効果~
様々な外交手段がある中で、西側諸国が五輪の場で外交的ボイコットを行うことにはどれほどのメリットがあるのでしょうか?実際、外交的ボイコットは大会の開催自体にはほとんど影響をもたらしません。開催国と自国が対立する中で、開催国に祝意を示さないというスタンスをとり、内外に開催国に対して毅然とした態度で向き合い続ける意思を示す、という程度にとどまるでしょう。

◆日本はどう考える?
上記を踏まえると、結局は開催国との関係性を見極めたうえで外交的ボイコットの判断を行うことになります。日本は自由・民主主義かつ資本主義の陣営ではあるものの、地理的に近い中国には経済的な相互依存が米英などと比べると大きく、一定程度良好な外交関係を保っていると言えます。仮に外交的ボイコットに踏み切れば、日中関係の悪化は免れず、経済的には一定程度の損失が出ると言えるでしょう。こうしたデメリットを考え、日本としては現状外交的ボイコットに踏み切れないものと思われます。

~それでも、人権は大切~
仮に日本が外交的ボイコットを行うとすると、やはりその理由は人権侵害に対する毅然とした態度を自由・民主主義を基本とする陣営として表明することが大きな目的になるでしょう。手段としての有効性はさておき、人権はとても大切なもので、本誌としても侵害は見過ごすことができないと考えます。

~理念と実利の狭間で~
まとめると、西側諸国陣営に所属する国・そしてその市民としては、外交的ボイコットは人権侵害に対する毅然とした態度を示すものであり、倫理的には当然の施策であると言えるでしょう。一方、理念だけで外交関係を理解することはできません。①手段としての有効性;五輪の場で外交的ボイコットを行うことの効果②開催国と自国の経済的依存関係を勘案した際の経済損失などを総合的に考えて評価する必要があるでしょう。

・・・
あなたは、日本が採るべき北京五輪へのスタンスについてどう考えますか?Twitterのリプライ・引用リツイートで一緒にディベートしましょう!!(#newsdedebate)

2. Twitterで議論は可能なのか/議論のためのツイートチェックリスト

「Twitter」は議論に向かない。そういった意見をよく見かけます。確かにTwitterはお互いのバックグラウンドもわからない、文字情報なので色んな意味に取れてしまう(真意が分かりづらい。)結果、議論が「朝ナマ」的に白熱し、炎上するというのは一理あると思います。

 ただ、こういった否定的な意見は、炎上経験のあるインフルエンサーから発信されていることが多いように思われます。彼/彼女はSNSでさんざんひどい目にあったあげく、Twitterがいかに理不尽な場であるかを繰り返し発信するようになるのです。また、炎上する様子を目にする(そしてしばしば炎上に加担してしまう)我々にとっても「Twitterは無法地帯」という信念を強めているのでしょう。

 Twitterにはいくつかクセがあります。そもそも限られた時間の合間をぬってツイートしている方もいるでしょうし、ひとつの議論の場に長く居続けるのが難しい場合が多いでしょう。すでに起きている議論に後から入っていくのも、それまでの流れを追いかけるのが大変ですし、いきなり飛び込んでどんな反応が返ってくるかわからない怖さがあると思います。

 以上から、Twitterでの議論を可能にするには「部分的に参加するのをOKにすること」「その都度、話してきたことのまとめを意識的に行うこと」が大事だと言えるでしょう。ニュースdeディベートのトピックをTwitterでディベートする上で、心がけていこうと考えています。

それぞれのツイートにおいても、心がけるべきことややってはいけないことがあるでしょう。例えば「●●は気持ち悪い、●●さんが言うことは当てにならない」といった、単に反応したり感想を言うだけのツイートは、相手の気持ちを害すだけで、議論を前に進めることにはなりません。相手の意見と自分の意見が「どこまで同じ」で「どこから違うのか」が書かれていることで、噛み合った議論となります。相手に同意する点、よかった点を書いてあげることはとっても大事です。どんなに相手が嫌いでも、相手の意見を全否定することを目的にしてはいけません。「論破」は憎しみしか生みません。「論破」はディベートでも議論でもありません。

 まずは相手の意見に耳を傾け(じっくり読み)相手が主張していることやその前提をしっかり理解することを心がけたいものです。これらを意識することで、有意義な議論となっていくでしょう。

 私、ディベート賛否さんは、Twitterでの議論は「できる」と考えています。ここで有名になりつつある「競技ディベート」について考えてみましょう。

 「競技ディベート」は主に大学の部活動やサークル活動を中心に普及してきました。最近では中高生でも経験する人が増えてきており、様々な業種の研修に用いられています。ディベートの大会ではしばしば「知らない人」と試合をし、議論の説得性に対して勝敗がつけられることになります。なぜこんなことが可能なのか。「見知らぬ誰か」と立派に議論(といってもいいでしょう)ができているではないですか。

 これは「ルールやお作法を相手と共有しているから」だと考えています。話せる時間はこれくらい、相手に対し個人的中傷はご法度、などです。Twitterでこうしたルールは今まで発信されてきませんでした。

 「誰が」ではなく「何を」言っているのかが大事なのもディベート的だと言えるでしょう。ある小学生と大人がディベートをしたとして、小学生のほうが論理的で説得力があるのであれば、そちらに軍配があがるでしょう。Twitterでは「フォロワー」の多い「インフルエンサー」の声が大きくなる傾向があります。その人のサポーターたちが後から出てくることもあります。私、賛否さんのアカウントでは、相手が言っていることに耳を傾ける議論を目指しています。もちろん、相手を中傷する発信や「私が言っていることが正しい。反論は許さない!」といった意見には取り合ってはいけないと考えます。(これこそが炎上の始まりですから)

 とは言っても自分のもっている個性やバックグラウンドを全て取り除くこともできないでしょう。その職業についているからこそ言える意見、などもあったりしますから。

 今までTwitterで経験できなかったような、有意義な議論をしていきましょう。気づけば皆がディベーターになっているはずです。ツイッターで意見を述べる際のチェックリストを作成しました。参考にしていただけると幸いです。

Twitterで議論するときのチェックリスト

✅相手のツイートを前後のツリーも含めよく読みましたか?
✅「反応・感想」ではなく、あなたの考えが明確になっていますか?
✅意見に賛同する部分/反対する部分が明確ですか?
✅ツイートに書かれていない「前提」を推察する際はその旨明記していますか?
✅感情的に攻撃する内容が含まれていませんか?
✅相手の属性を理由に差別するような内容が含まれていませんか?

ツイートの例

●●という点はおっしゃる通りだと思います。しかし実際には、●●という現実があり、●●さんのツイートの前提になっていると思われる「●●」という現象は実際には起こっていません。むしろ、●●という点が現実には課題となっており、私としても取り組みたいと考えています。ぜひ●●さんの意見を伺えれば幸いです。

3.ディベート的投稿コーナー

職場コミュニケーションに不満があります
はじめてメールさせていただきました。限界パン職です。上司や同僚に自分がやっていることを評価してもらえません。給料はある程度もらっているのですが、やはり日々のコミュニケーションや評価が充実していないと仕事が嫌になってしまいます。どうすればよいでしょうか?

-ディベート賛否さんの解答
上司の人柄やマネジメント能力の問題です。部下が何を報酬をしているか把握していないということです。給料は良いとのことですが、やはり人間「普段の気苦労や不満」を「月イチに増える数字」ごときに解消できないのです。

競技ディベートを体験してみたいのですが
ディベートって最近聞く機会が増えてきた気がします。知人の会社では研修に導入されているようですし、英語教師の方が英語ディベートを学ばれている話も聞きます。自分も競技ディベート(?)を体験してみたいのですが、どうすればよいでしょうか?

-ディベート賛否さんの解答
最近では社会人も参加できるディベートの大会が増えてきていますし、練習会も増えていますよ。「日本ディベート協会」や「JPDU」などが運営していますので、検索してみてください(後者は英語ディベートですが)もちろん、毎週ニュースdeディベートを読んでいただいて、私の発信を追いかけて一緒に議論していたら、競技ディベートに対応できる力は付きますよ。ディベートのレクチャー的なことも今後やっていこうと考えています。

ニュースについてのツイートがなかなか他の人に届かない
Kaneyamaと申します。私もニュースを読んでいいたいことはたくさんあるのですが、ツイートをしてもなかなか他の人に届かず、反応も得られません。リプライの一つでもつけば楽しいとは思うのですが。どのような方法があるでしょうか。

-ディベート賛否さんの解答
まさにこちらの投稿を拝見して今回の記事のエッセイを書かせていただきました。我々の発信やアンケートに対してリプライくださったり、#newsdedebateで呟いていただいたら、反応を得られたり議論する仲間がどんどんできますよ!

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ニュースdeディベートでは読者の皆さまの投稿を募集しています。感想でもエッセイでもノウハウ等の共有でも構いません。掲載の有無については、ニュースdeディベート編集委員会にて精査した上で判断させて頂きます。誤字や文章の構成など、内容を改変しない限りにおいて修正を行う場合がございます。あらかじめご了承ください。掲載された文書は、他のメディアや刊行物等に転載される場合がございます。ご了承願います。

作者 : ディベート賛否さん / 週刊ニュースdeディベート
Twitter : https://twitter.com/newsdedebatejp
投稿・質問受付: contact.newsdedebatejp@gmail.com

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週刊ニュースdeディベート
ディベート力を皆のものとするため、今後も頑張ります。