介護士に外国人6万人 日本の労働者「待遇改善が先」の声
いったい何人の外国人材を
受け入れようとしているのか。
政府は14日、
今後5年間に
受け入れを検討している
職種と人数を示しました。
その上位3つの職種です。
第3位は建設業で4万人。
2位は外食業で5万3千人。
そして最も多く受け入れる見込みなのが、
「介護業」
最大6万人となっています。
これらはいずれも
人手不足が深刻な職種ですが、
一方で、今まさに、
その仕事についている人たちから
不満と不安の声が上がっています。
(NEWS23 2018年11月14日放送)
エコー写真にうつっているのは
男の子の赤ちゃん。
来月、この子のパパになるのが
介護士の久保遼太郎さんです。
しかし、その胸の内は・・
●久保遼太郎さん
「やっぱり一人の給料で
家計を支えていくというのはなかなか厳しい」
白衣姿で現れたのは、
介護士などによる労働組合。
14日、厚生労働省に
待遇改善を求める要望書を手渡しました。
外国人労働者の受け入れ拡大に向け
新たな在留資格を設けたい政府。
介護業は最大で6万人を
受け入れる見込みだといいます。
慢性的な人手不足にあえぐ介護業界。
歓迎の声がある一方、現場では、・・・
●ケアマネージャー
「言葉の問題。
まず信頼関係の構築が
ハードルになると思います。」
●介護士
「人が足りないから
外国人をいれるのは全く話が違うと思う。」
「申し訳ないけれど、
外国の方が来たら私たちの賃金も同時に
引き下げられるのではないか。
そこが一番心配。」
都内で介護士として働く
28歳の久保さん。
まもなく男の子の父親になりますが、
収入に不安を感じています。
妻も介護士で、今は産休中。
夫婦合わせても
手取りは月に30万円ほどだといいます。
久保さんは、
たとえ外国人労働者が
介護の現場に加わっても
いまの待遇が変わることはないと考えています。
介護職員の1か月の賃金は
23万3千円あまり。
全業種の平均と比べると
7万円以上低い金額です。
離職率は16%と
6人に一人が辞めてしまう計算になります。
理由は、結婚や出産、将来への不安などです。
こうした状況に、労働組合の担当者は・・・
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都内にある介護福祉士の養成学校。
全校生徒96人のうち
83人が外国人留学生です。
この学校では昨年度から、
漢字に読み仮名をふった
教科書を使い始めました。
介護福祉養成施設への
入学者は減る一方ですが、
外国人留学生は増え続け、
全体の6分の1を占めるまでになりました。
●ミャンマーからの留学生
「自分の国の介護学科の先生になりたい。」
「給料が少なくても
自分で選んだから関係ありません。」
●ベトナムからの留学生
「お給料はあんまり高くないけど、
(介護施設の)生活に楽しく
一緒に参加したいと思います。」
この学校では去年
生徒たちの就職率は100パーセント。
今年も留学生を含めほぼ全員、
仕事先が決まっているといいます。
それでも・・・
人手不足をどう補うのか。
介護現場でも様々な工夫が始まっています。
都内にある特別養護老人ホーム。
職員の腰には、見慣れない器具が付いています。
腰などにかかる負担を
軽減するロボットスーツ。
1年前に導入されて以来、
職員からは好評を得ていると言います。
●従業員
「常に仕事中はつけています。」
「後ろで釣り上げてくれる効果が
あるので、腰痛の軽減になる。」
さらに、このベッドにもある仕掛けが・・・
こうした最新の機器は
人手不足を補うのに
一定の役割を果たしています。
しかし、この施設でも来年から
外国人介護士の受け入れを検討しています。
介護現場の処遇問題が
改善されないうちに進められている、
外国人労働者受け入れ拡大の議論。
現場の声は届くのでしょうか?
●雨宮キャスター
最新機器を入れて労働環境が改善され
さらに賃金ももう少し上がれば、
離職者が減りますから
人手不足が解消されるのかと思うのですが・・・
●星キャスター
現実には、
不足分を外国人労働者で埋めて
賃金を抑えようという動きもあるわけですよね。
そうすると、
賃金が良くないと待遇が良くないから、
介護士のなり手が少なくなり、
ますます人手不足になる
悪循環に入りつつあるところですよね。
●駒田キャスター
今から約25年後に
高齢化のピークが過ぎると言われていますから、
そうすると介護士の需要が減る
ということもありえますよね。
●星キャスター
外国人を"雇用の調整弁"に使おうとなると
ちょっと外国の方も
「いずれ自分たちも
御用済みになるんだから」と思って
なかなか日本に来にくくなりますから、
全体状況や将来展望を
説明する必要があると思いますね。