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熱いお茶を淹れよう

 「好きな飲み物は?」と聞かれたら、多分「お茶」と答えると思う。私はよく家で熱いお茶を淹れる。使うのはスーパーやドラッグストアに売っている普通のティーバッグで、特にこだわりはない。規定の量を守らずにお湯をなみなみ入れる。だいたい緑茶かほうじ茶。紅茶も嫌いじゃないが家では飲まない。この前間違えて買った玄米茶は回転寿司チェーンの味がした。

 私が家でお茶を淹れるようになったきっかけは、3年半程前に三重県で伊勢茶の試供品をもらったことだ。その頃(も)、私は仕事を辞めたばかりでプライベートも上手くいかずどん底の気分だった。そこで私は気晴らしと神頼みを兼ねて三重県にある某有名神社に行った。電車とバスを何本も乗り継いで向かう。バスを1本逃したらその日のうちに行けない、帰って来られないという本数の少なさとハードスケジュールだった。遅延もなくスムーズに乗り換えができて、無事到着。お参りしてお守りを購入。(ちなみに願い事は叶わず、お守りは昨年郵送で返納した)帰りのバスまではまだ随分時間がある。周囲は一応観光地化しており、いくつかお土産屋さんがあったがすぐに見終わってしまった。雨が降っていたため、近くのカフェに入ることにした。カフェラテと真珠貝から作られたカルシウムが入ったマドレーヌを頼んだ。そして、そこで伊勢茶の試供品をもらった。深蒸し煎茶、煎茶、かぶせ茶の3袋入り。このとき私には家でお茶を入れる習慣がなかったため、「はぁ、どうも」といった感じだった。

 家に帰ってからも相変わらず気持ちは沈んでいた。ふと、鞄に入れっぱなしになっていた伊勢茶の存在を思い出す。まぁ、せっかくだから飲んでみるかと淹れてみたところ、とても美味しい。(あたりまえ) そして、熱いお茶は荒んだ心を落ち着ける効果があるなと感じた。次の日もその次の日もお茶を淹れ、三重から帰ってきて3日間ですべて飲み切った。ちなみに3種類のお茶の違いはよくわからなかった。そこから自分でティーバッグを購入し、お茶を淹れるようになった。疲れているとき、リラックスしたいとき、なんでもないときもお茶を淹れた。つらい現実を忘れたくて家で1人で強いお酒を飲むときのチェイサーも熱いお茶になった。お茶が有名な地方に行ったときは少量で売っているものを探して買うようになった。静岡の掛川茶、京都の宇治茶、山口の小野茶、鹿児島の知覧茶、佐賀の嬉野茶などいろいろ飲んだ。やっぱり味の違いはわからない。宇治茶は色が薄い。

 立ち直りつつあるとはいえ、現在人生でいちばん落ち込んでいる。今こそ熱いお茶の出番!荒んだ心を鎮めよ!と言いたいところだが、未遂以来まだ一度しかお茶を淹れていない。本当に落ち込むとお湯を沸かすことすらできない。飲んだ後マグカップを洗うのすら苦痛。困ったもんだね。

 ちょっと疲れている皆さん、ちょっと落ち込んでいる皆さん、熱いお茶を淹れてみませんか?身近に元気のない人がいる人はお茶を淹れてあげてください。まだ手遅れじゃなければ、きっと少し元気になります。

 

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