死にたい夜の暇つぶし

 「もう一日たりとも生きていたくない」と思ってから何日生きているんだろう。今日も相変わらず死にたい。死にたい日々の中でも特に死にたい夜は、Wikipediaで「自殺・自決・自害した日本の著名人物一覧」を見る。

 没年月日が新しい順に著名人の名前が並び、手段や没年齢などが一覧となっている。備考欄には発見の経緯や原因と思われる直前のトラブル等が記載されている。あんなに才能がある人でも、あんなに綺麗な人でも自ら死を選ぶのか。あの人ってこんな若くして亡くなっていたのか。AV女優と作家の自殺多いなぁ。やっぱり首吊りがいちばんなのかなぁ。そんなことを考えながら夜更かし。不謹慎で不健全な暇つぶし。

 気になる人がいたらWikipediaのその人のページに飛ぶ。生まれから活躍、そして自死に至るまでの経緯を読む。私は1964年の東京オリンピック男子マラソン銅メダリストの円谷幸吉の遺書が好きだ。「父上様母上様 三日とろろ美味しうございました。」で始まる遺書。きょうだい一人一人の名前をあげて「◯◯美味しうございました。」と正月のご馳走のお礼が続く。「幸吉は、もうすっかり疲れ切ってしまって走れません。」の言葉も印象的だ。最後は「幸吉は父母上様の側で暮しとうございました。」と締められている。私はこれが好きで何度も何度も検索しては読んでしまう。私が自殺未遂をしたときの遺書は個人名が一切登場せず、理由も明記されていない抽象的で淡々としたものだったなと思い返す。

 そんなことを考えていてもまだまだ明けないぐらいに無職の夜は長い。平均寿命まで生きるとしたら、この先の人生はとてつもなく長い。どうやって生きていこうか。生きていけるだろうか。

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