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『古本乙女の日々是口実』(カラサキ・アユミ先生著)
それは2年前の秋、神田神保町では毎年恒例の神田古本祭りが開催されていました。
僕は本が好きだと常々言っていますが、日本一の本の街と言われる神保町にはこれまで足を運んだことがありませんでした。それは、神保町にはどこか玄人向けなイメージがあり、普段ブックオフで満足してしまうような自分にとっては敷居の高い場所だと感じていたからだと思います。
しかしその年は、知人のマリカさんが「KOSHO MARIKADO」というネット古書店を独立開業し、神田古本祭りに露店を出すということで、それならばと、初の神保町にチャレンジしたのでした。
それまで神保町の位置さえよく分かってなかったのですが、調べてみると自宅からドアtoドアで30分くらい。もっと早くから行けばよかったと思いました。
神保町に到着すると、メインストリートの歩道には、神保町にある書店に加え、東京中の有名な古本屋さんが露店を出しており、まさにお祭りのようにたくさんの本が並んでいる光景はとても楽しい体験でした。
さて、古本に関するマンガとして、ブックオフ好きに突き刺さることで有名な大石トロンボ先生の「新古書ファイター真吾」がありますが、現代の古本の楽しみ方を記した本としてもう一つおすすめしたいのが、カラサキ・アユミ先生の『古本乙女の日々是口実』です。
ずっと読みたいと思っていたのですが、今回手に入れて読んでみたら期待通り超面白かったです。
この本は、8割が4コマ漫画で構成されていて、残りの1割ほどはコラム的な文章で構成されています。古本好きの女性の日々の様子や、古本好きの生態(心に突き刺さるあるあるネタ)が描かれており、読み始めたらあっという間に読み終わってしまったくらい面白かったです。
特に共感したのは、先生も古本が大好きではあるが、神保町に通い詰めたり何か特別な知識を持っているわけではない、と。ただ昔から本が好きで、古本屋の雰囲気が好きで、棚を見てグッとくるものを買っているだけ(意訳)と書かれていて、古書に対する目利きがないと本当の古本好きの仲間入りができないのではないか、神保町に行っても浮いてしまうのではないかというような気持ちを持っていた自分にとって、「ああやっぱりそれでいいんだよな」と、救われたような気持ちになりました。
僕もミステリーやSFが大好きですが、マニアックに深く掘り下げているわけではないし、読んだ本の細かいところまで覚えているわけではないし、どちらかというと読んだ本の内容もちょっと経つと忘れてしまいます。
そういう意味でアマチュア感は否めないのですが、カラサキ先生の文章を読んで、自分なりの古本道があっていいんだ、と勇気づけられました。
『古本乙女の日々是口実』というタイトルも秀逸で、「日々是好日」という言葉をもじり、最後に言い訳をする時の「口実」という言葉をくっつけている。
僕も、古本や古着を買って家に帰る時には、奥様に対する言い訳を考えたり、そもそも、自分自身に対して古本を買いに行くことを正当化する口実を考えたりしているので、やはり、古本好きと「口実」という言葉は切り離せないんだなと。
4コマ漫画はどれも面白かったのですが、特に共感したのは、先生が電車に乗って見慣れない土地を通り過ぎる際に、窓の外に「古本」と書かれた看板を見つけ、やばい!次の駅で降りよう、と思ったら、実は「古本整形外科」だったという話。私も同じような経験があるので、読みながら声を出して笑いまた。
とにかく、古本が好きな方にはぜひ読んでいただきたい一冊。おすすめです。
(おわり)
引用元
今回の記事は、Podcast「NewNakanoStories」のこちらのエピソードで話している内容をもとに、AIの力を借りたりしながら再構成したものです。