カレー。その尋常ならざる包容力と統率力
・連休最終日。心穏やかに過ごすために、とくに外出はせず家でゆっくりとしようと決意した。
・午前中、家事とちょっとした仕事を片付けたところで、急にカレーが作りたくなった。
・料理はいい。心が落ち着く。
・そう決まったら、さっと冷蔵庫の中身を確認して買い出しへ出掛けた。
・奥さんはまだ起きてきておらず、相談してない。
・相談したら却下されるだろう。
・なぜなら昨日もカレーを食べたから。
・まあ、昨日のカレーは無印良品のレトルトなので、いま僕が目指しているカレーとは全くの別物といえる。
・ということで強行した。
・僕の作るカレーは、キーマカレーに近いものだと思う。
・玉ねぎ、ひき肉、人参、ほうれん草、カットトマト缶、野菜ジュース、生姜、バナナ、りんご、ヨーグルト。
・こういったものを細かく刻み、時にはミキサーでペースト状にし、混ぜ込んでいくので、出来上がりが早い。
・ここで興味深いのが、カレールーを入れる前の段階では、上記の具材を総合すると人参とトマトが存在感を発揮し、色がピンクになる。
・とてもではないが美味しい食べものには見えない。
・が、ここにカレールーを投入することにより、一気にカレーに昇華する。
・ここにカレーの信じられない包容力と統率力がある。
・手前でどんな無茶をしても、結局カレーになる。
・どんなに適当な順番で調理しても、最終的にカレールーを投入するとカレーになる。
・ものすごい発明だ。
・と、ちょうど12時頃、出来上がったところで娘が塾から帰ってきた。
・扉を開けるなり『お腹へったー!』と叫んだ。
・そんな漫画みたいなフォーマットの小学生がいるのか、と思った。
・ごはんなに? と聞かれたので、カレーだよ、と答えた。
・反応が薄い。
・『カレーと?』
・いやカレーだけ。
・『玉子ないの?卵料理。』
・娘は異常に玉子料理が好きなのだ。
・いや、カレーに無茶苦茶いろんな具材入ってるから玉子オンしなくてもいいでしょうよ。
・『目玉焼き。目玉焼きオン。』
・ということで、一歩も引かないので結局目玉焼きもつけた。
(end)