汚れっちまったビットコインと「e人民元」の深謀遠慮 超インフレの兆しあり、「ドルの死」が現実になる? 大統領の「特許放棄」要請にビオンテックが猛反発
🔻イーロン・マスクの変心
価格が上がるほど汚れていく
詩人の中原中也は「汚れっちまった悲しみに」と歌った。ビットコインは「悲しみ」のただ中にいる。5月中旬、1日で30%下落した。ジェットコースターが習い性のビットコインであれば、30%の下落自体、驚くにあたらない。ビットコイン信奉者を焦らせたのは、“教祖”のイーロン・マスクが心変わりしたことだ。マスクの改宗の弁。「仮想通貨は多くの点でいいアイデアだ。未来が約束されていると思う。だが、それを実現するには、余りに環境に負荷がかかりすぎる」(フィナンシャルタイムズ=FT紙5月20日付)。
ビットコインはコンピュータを回し、方程式を解くことで“発掘”される。そのコンピュータが消費する電力が尋常でない。ケンブリッジ大学の最新調査では、ビットコインの発掘に使われる電力は1年で133.68テラワット時。スエーデンの年間131.8テラワット時を上回る消費量。マスクCEOのテスラは「地球に優しい車」を謳っている。電力ガブ飲みのビットコインを支持し続けることはできない道理である。テスラは今年2月、車の代金をビットコインでも受け取ると表明したが、この方針も撤回した。
「マスクは発掘のことは何も知らない。ヤツの裏切りは政府の支援が欲しいから」。ビットコイン信奉者たちは憤懣やる方ない。「くたばれイーロン」と名付けた新仮想通貨まで登場した。が、価格が上がれば上がるほど、いよいよ“汚れっちまう”ビットコインの定めは変えようがない。