「聞く力」は裏返せば優柔不断 浮かぶ“ひ弱な”トップリーダー像
あれもやる、これもやるの大盤振る舞い
自民党の“圧力”が強まる政策決定
岸田文雄首相が誕生して間もなく3カ月。衆院選という最初のハードルをクリアし、55.7兆円に上る超大型の経済対策を引っ提げて、初の本格的な論戦となる臨時国会に臨んだ。しかし、新型コロナウイルス対応をめぐっては朝令暮改や迷走が目立つ。安倍晋三元首相、菅義偉前首相のような木で鼻をくくる答弁とは異なり、ソフトな受け答えを心掛けているものの、自民党総裁選時などで掲げた公約は影を潜める。世代交代をアピールするために起用した閣僚の答弁も心許ない。
首相自慢の「聞く力」は、良く言えば柔軟だが、裏返せば、ぶれる、優柔不断の表れ。政府、与党を掌握できない、ひ弱なトップリーダー像が浮かぶ。次第に剝がされつつある岸田政権の真の姿を探ってみよう。
岸田首相は12月6日、衆参両院本会議での所信表明演説で、「若者も、高齢者も、障害のある方も、男性も、女性も、全ての人が生きがいを感じられる多様性が尊重される社会を目指す。信頼と共感を得ることができる、丁寧で寛容な政治を進め、この大いなる挑戦の先頭に立つ覚悟だ」と高らかに宣言。冒頭に感染拡大の備えとして13兆円規模の財政資金の投入、厳しい状況に追い込まれた事業者に対して17兆円規模の支援、無料検査の拡大などのコロナ対応を並べた。