米中対立はスポーツまで巻き込んでいる 2大政治イデオロギーの衝突、米国不利の台湾情勢
🔻責任なき五輪開催支持、日本は実験台?
米国の「変わり身」の背景にはやはり中国
新型コロナ禍の「super-spreadder event=1大感染イベント」になるリスクを顧みず、近づく衆議院選挙での勝利と総理再任のための政治的利点に目がくらみ東京オリンピック開催に突っ走った日本の菅義偉首相。そんな首相にとって米国の「変わり身」はとりわけ有難かったはずだ。
5月24日、米国務省は日本について、オリンピック関係者は除外したものの、一般米国人に対し渡航中止を勧告する「警戒レベル4」の国家に指定した。これは日米に限らず世界各国でも、五輪開催は無理ではないかとの見方を強める決定だった。ところが、わずか2週間後の6月8日にはその警戒レベルを3に引き下げ、「中止勧告」から「再考すべき」に緩和した。さらに同13日には英国で開催された先進7カ国(G7)首脳会談共同声明で、菅の求めに応じ「五輪開催支持」の文言を盛り込むことにも賛成した。
実際、米国が「レベル4」を発出した際には、日本は緊急事態宣言を延長したばかりで、新規感染者数は1日当たり約5000人、少なくとも1回のワクチン接種を受けた比率はわずか5.2%だったのが、6月8日前後には新規感染者数は約2000人に下がり、接種率も12%へと加速、状況は好転していた。引き下げはこの改善を反映したものともいえるが、ワクチン接種率は依然G7最下位であることは変わらない。新規感染者数も前回の緊急事態宣言終了時と同水準で、この水準のままで打ち切れば、また前回同様大きなリバウンドが起きかねない状況だった。
米国内でも日本のコロナ対策への疑念が根強い中で、ジョー・バイデン政権が東京五輪開催への積極支持に転じた背景にある思惑を示唆するのが、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)紙の社説だ。