NEW LEADER LIBRARY📚(`21/7)
📖警視総監に表彰されたこともある元警察
警察に嫌気を差しOB議員のトラブル処理係
驚くべき人脈と、あの買占め事件の顛末
『闇の盾』 寺尾文孝(講談社1980円+税)
本書の惹句に、著者は政界・警察・芸能界の守り神と呼ばれた男だとある。今どきそんな怪物がいるのかと思うが、ともかく本書で著者が関わったとする人物達が凄い。警察・検察官僚の大物たちに許永中や伊藤寿永光など闇の世界からでてきた〝バブル紳士″、株の仕手戦で名を売ったコスモポリタンの池田保次、中江茂樹、尾上縫、アイチの森下安道。さらに山口組の五代目、後藤組。芸能界ではバーニングの社長に小林旭、羽賀研二と上げたらきりがない。
しかし、〝バブル紳士″たちや芸能人の話はすでにいろんなメディアで報じられている。本書のオリジナリティは、警察・検察OB達の関わったトラブル処理を詳しく述べている点だ。
著者は元警察官、それも中古のビュイックのオープンカーに乗って出勤する型破りな警察官だったという。そして機動隊員の時に渋谷ライフル銃事件の犯人に最初に飛びついて手錠をかけ、警視総監から表彰される。だが、その表彰の順位を決定するために何度も「取り調べ」のような聞き取りをされ、気持ちが冷める。警察は階級社会で、いくつもの昇進試験を受けねば出世できない。だが、上司の家族寮での暮らしぶりをみると、昇進したところで幻滅しかなかったという。結局、15階級あるうちの下から2番目の巡査部長になる前に辞めてしまった。