【特集④】金融ビジネスの「失敗」と「未来」オープンバンキング時代の勝者とは
先進性、国際性、収益性の
どれも海外に劣り地盤沈下
今記念号の総合タイトル「私たちの失敗、君たちの未来」を日本の金融界に当てはめれば、まず過去の「失敗」というのは日本の金融界が抱える欠点を考えればいい。
それには金融機関の先進性や革新性の乏しさが挙げられよう。世界で革新的な金融商品やサービスはだいたいが海外を発祥とする。「ユニコーン」(企業価値が10億㌦以上の未公開企業)になるようなフィンテックとして成功している企業もほとんどが欧米勢だ。
国際性でも見劣りする。野村証券のリーマン・ブラザーズ買収はかつてない挑戦だったが、収益的にそれほどうまくいっていない。敢えて成功例を挙げれば、リーマンショック直後に米モルガン・スタンレーに大型出資を行った三菱UFJフィナンシャル・グループだろう。その後の配当などで大きな利益を得ている。ただ、これも国際的経営の成功というより投資の成功と言ったほうがいい。
欠点には収益性の低さもある。日本の3メガバンクの総資産(2022年末)は三菱UFJの391兆円を筆頭に米銀最大のJPモルガン・チェース(約480兆円)にさほど劣らないが、ROA(総資産純利益率)は0.2~0.3%で、JPモルガンの1.0%に遠く及ばない。