そう簡単に利下げはできない理由 増える「トランプは好きだが大統領には疑問」の声
利下げはそんなに簡単ではない
時期尚早の緩和は高インフレ水準に戻る
年初から米国を中心に世界の金融市場に広がっていた楽観的見通しが2月下旬から急速に萎んだ。その楽観論とは、高インフレ退治に向けた昨年後半の米連邦準備制度理事会(FRB)の異例の大幅連続利上げが功を奏し、利上げは今年前半には打ち止めとなり、早ければ年終盤、遅くとも来年早期に利下げに転じるとの見方である。
だが、株式市場ではS&P500種指数が2月半ばには年初来8%も高騰していたのが、3月10日までに上昇幅が3%足らずまで縮小。楽観論に基づくリスク選好の高まりで主要通貨バスケットに対する米ドル相場が昨秋以来6%も下がっていたのが、上昇に転じ、下げ幅は3%代に低下した。
そして、楽観論を完全に否定したのが2月下旬に発表された国際決済銀行(BIS)季刊誌の「市場を動かすリスク認識と政策見通し(Perceptions of risk and policy outlook drive markets)」(3月号)だ。