ベイデイ、新生銀、2つのM&A案件が示唆する 国内金融業界の将来性と混迷
米ペイパルがペイディを買収
国内キャッシュレス市場を巡る争奪戦
9月上旬、国内の金融界で2つのM&A案件がニュースとなった。1つは、米決済サービス大手のペイパルが、日本で後払い決済サービスを手がけるペイディを3000億円で買収すると発表したこと。もう1つは、北尾吉孝社長が率いるSBIホールディングスが新生銀行に対してTOB(株式公開買い付け)を実施すると発表したことだ。
まずはペイパルによる買収。同社は1998年創業で、銀行口座などに紐付けて行う電子商取引(EC)決済で圧倒的地位を築いており、米国中心に世界200カ国以上で4億人以上のユーザーを持つ。共同創業者にはテスラのイーロン・マスクCEOも名を連ねる。ナスダック上場の株式の時価総額は過去5年で7倍、現在約3300億ドル(約36兆円)で米銀2位のバンク・オブ・アメリカと肩を並べる。2020年12月期の純利益は42億ドル(約4600億円)。まさに決済業界の巨人だ。
そのペイパルが触手を伸ばしたペイディは08年に東京で設立された新興企業で、14年から後払い決済サービスを始めた。ユーザー数は急増し600万人を超えている。先行投資がかさんで20年12月期の純利益は54億円の赤字だが、日本では数少ないユニコーン(企業評価額10億ドル超の未上場企業)の1社。今年3月には米著名投資家ジョージ・ソロス氏一族が運営するファンドなどから総額130億円を調達して注目を集めていた。