もうひとつのアミノ酸を手がける 大学発スタートアップ・ベンチャー〝Dアミノ酸ラボ〟
🔸無視されていた鏡像異性体が
2000年以降に注目を集め始めた
人間を始め生物が生きていくために最も重要な栄養分がタンパク質である。タンパク質は人間のからだの約20%を占め、水の次に多い生体成分となっている。
そのタンパク質の最小単位がアミノ酸である。人間をはじめとした生物の構成成分であるタンパク質は、有機化合物であるアミノ酸から合成されている。今回は、そのアミノ酸の話である。
アミノ酸は、タンパク質の構成成分としてだけでなく、それ自体が体内で機能している。人間のタンパク質を構成するアミノ酸は、成長ホルモンを合成するアルギニン、代謝を促すアスパラギン酸、消化器官の機能を維持するグルタミン酸など20種類あるとされている。
だが、あまり知られていないのは、少し専門的な話になるがアミノ酸と言っても大きく分けて2種類あることだ。Lアミノ酸とDアミノ酸である。一般にアミノ酸と言われているのはLアミノ酸である。20種類あるとされるアミノ酸とは、Lアミノ酸が20種類あるということだ。
グルタミン酸にもLとDが存在し、一般にグルタミン酸と言われているのはLグルタミン酸のことである。同じように、アスパラギン酸にもアルギニンにもLとDとがある。
Dアミノ酸は、生体中のタンパク質を構成する一般的なアミノ酸であるLアミノ酸の鏡像異性体である。鏡像異性体とは、分子式を構成する原子が同じで結合の仕方が正反対の方向に異なっている化合物であり、光学異性体とも言われる(図1)。