ワクチン遅延に変異株拡大がリスク要因 日本は景気回復に急ブレーキの懸念
回復色鮮明の欧米景気
先進主要国の21年4-6月期の実質GDP成長率速報値は、欧米主要国の多くが回復の動きを強めているのが特徴的だ。新型コロナウイルスのワクチン投与が急ピッチに進んだ結果、感染者増がピークアウトし、都市ロックダウンなど行動規制が緩和され、経済活動が正常化に向けて動き出したことにある。
米商務省が7月29日に発表した米国の21年4-6月期成長率は前期比1.6%増、年率では6.5%増だった。市場予想の8.5%増には届かなかったが、1-3月期の6.3%増から小幅だが加速した。GDPの規模はコロナ危機前の19年10-12月期の水準を回復している。バイデン政権が3月に国民1人当たり1400ドルの直接給付金を柱とする総額1.9兆ドルの追加経済対策を決定、これが消費者心理にプラスし、個人消費が年率で11.8%の大幅増となったことが牽引した。
欧州では欧州委員会がユーロ圏19ヵ国の4-6月期実質成長率を発表したが、前期比2.0%増、年率換算では8.3%増だった。20年7-9月期以来、3四半期ぶりにプラス成長へ復帰した。欧州委員会が7月7日に公表した1.3%の成長予想を上回るもので、20年10-12月期、21年1-3月期の累積マイナス幅▲0.9%を補うのに十分なプラス成長となった。GDP水準はコロナ以前のピークである19年10-12月期水準にあと3 %、21年10-12月期にはピーク奪回と予想されている。