NEW LEADER LIBRARY📚(`22/5)
米国立公文書館の大量の秘密文書を発掘
戦後、米国が日本に行った情報工作を描く
日本は巧みにコントロールされてきた
本書は、米国立公文書館に眠っていた大量の秘密文書を発掘し、戦後、アメリカが日本に対して行った情報工作を描いた大作である。
共同通信の記者としてワシントンに長く赴任していた著者は10年の歳月をかけて秘密ファイルを読み解き、関係者に取材もして本書を書き上げた。秘密ファイルと言っているが、それらは一定の時間を経過して順次公開された米国公文書である。当然、皇室絡みのファイルのように、まだ公開期限に達していないファイルも存在する。
本書の内容は時間軸で言うと1939年から1998年、上下巻全九章。どの章も興味深いが、中でも評者が特に読者に推奨したいのは「第四章 反共への急カーブ」、「第五章 日本の黒い霧」、「第七章 反共工作基地」、「第八章 政界工作」、「第九章 情報戦争の今」だ。
例えば「第四章・1リクルートされた情報将校たち」では、戦争犯罪の責を問われてもおかしくない日本軍の特務機関の首謀者たちが、次々と免責されてアメリカ情報機関の協力者になっていく事実が暴かれる。