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学生オーケストラ
早稲田交響楽団の演奏会に行った。
学生オーケストラは好きでよく聴きに行く。
賛助会員になっているオケもある。
学生オーケストラがいいのは、まず何と言ってもリーズナブル。
賛助会員なら定期演奏会は招待だし、当日に行っても2000円くらいで、だいたい入場できる。
最近はサントリーホールなどの大きな箱で開催されることも多いので、ほんとにお得だ。
あと、学生オーケストラの演奏は、総じて素直。
個性を強調した禍々しい解釈にはついていけないので、いっそ凡庸と言ってもいいくらいの極めてオーソドックスな演奏が好みだ。そして、学生オーケストラの演奏はいつも真っ当な感じがする。音楽に忠実なのが、学生オーケストラのいいところ。
今回聴いたのは、ラヴェル「マ・メール・ロワ」とチャイコフスキー交響曲第5番。学生オーケストラは、よくわからない現代曲やめったに演奏されないニッチな曲を選ばないところもいい。
チャイコフスキーの5番なんて「いまどき取り上げるの?」っていう選曲だけど、けっきょくオーソドックスな選曲は聴衆も、そしてたぶんオーケストラも満足度が高い。
だって、ラヴェルは言いたいことがよくわからない感じだったけど、チャイコフスキーになった途端全体が生き生きしだしたから、あ~みなさんも好きなのね、演奏してて楽しいのね、ってよくわかった。
あと、これが一番気にいっているところなのだけど、客層が若い。
聴衆に学生さんが多くて、平均年齢は30~40歳くらい。
普通のクラシックコンサートだと平均年齢は60~70歳くらい。
客層が若いと何がいいかって、咳や咳払いが少ないこと。
わざとらしい咳や、しなくても良さそうな咳払いに、いつも辟易する。
楽章間だからいいと思ってる?そういうときの咳払いがほんとにうるさいのよ、しかもしつこくいつまでも。
それが学生オーケストラの演奏会だと咳そのものがあまりない。
とても快適。
私は咳もそうだけど、きちんと静かにできないのが本当の本当に不快で。
開演前や楽章間では緊張感を持ってほしい、聴衆も。
一切しゃべらないでほしいとさえ思っている。
そこでちゃんと静寂を作れるからこそ、演奏で大事なものを受け取れる。
学生オーケストラの演奏会って、クラシックにあまり慣れていなさそうな人が多いから(なのかはわからないけど)、開演ベルが鳴ったらほとんど私語がない。きちんと静かに待っている。静寂を作ろうと意図していないと思うけど、結果的に客層の良さがこういうところでも生きる。
拍手のタイミングもゆっくりで、指揮者が完全に腕をおろして、さらにもう一呼吸待ってから拍手をする。フラ拍なんかめったに起きない。
たぶん、曲が終わったかどうかわからない、っていうのもあるんだろうけど、結果的に余韻を十分味わえるからとても素敵。
何から何まで演奏会の体験として最高なのだ。
もちろん、一番大事な金管の独奏で音が外れたり、他にもプロオケでは見られないミスがあったり、ダイナミクスが少し物足りなかったりするんだけど、それも含めていつも素晴らしい。
これからもずっと応援したいと思っている。
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