stock
stockrというアプリを愛用している。
自分の気づきをストックしておき、たまに振り返ってアイデアを掘り起こしたり、知識をアップデートして深めていく、というような使い方をする人が多いようだけど、私は「名言辞典」として使っている。
ネットや書籍で気になった言葉、感動した文章、思いもかけない考え方、といったものを見つけ次第放り込んでいく。
たまに振り返って感動を新たにし、たまに「なぜこれをストックしたのか」という不可解な自分に遭遇する、それもまた楽しい。
初めてストックしたのは、与謝野晶子の言葉。
「一人称にてのみものを書かばや。われは女ぞ。
一人称にてのみものを書かばや。われは、われは。」
2021年9月にこれをストックして、名言辞典がスタートした。
この頃はピアノを習うことを意識し始めた時期だったので、音楽に関する言葉も多い。
「演奏するために演奏するのではない」
サンソン・フランソワ
「緊張したり暗譜ミスをしたりするのは誰にでもあること。
大事なのは音楽に真摯であること」
オルテンス・C・ブレッソン
まだ何も始まっていないうちから、いいチョイスだ、自分(自画自賛)
自分の名誉のために言うと、もちろんそういう尊大な自分を戒める言葉もストックしてある(少しだけ)
「アマチュアとは別の何かのプロのことである」
「自主性とは自由に好き勝手にやることではない」
「さっさとやって、さっさと失敗して、さっさともう一度やる」
「ひとが得をしたら、いいなぁではなく、よかったねと言える人になろう」
こんなに自己愛が肥大していても刺さるということは、自分はまだまだ見込みがあるのかも(という尊大さ)
先日、アプリ内の言葉をつらつら見返していたら、こんな文があった。
「師の指先を見るな。
師の指先が指す月を見よ」
私はピアノの初学者なので、先生にはテクニカルなことを基礎の基礎から教わっている。
でも、時折先生が「ここの響きが美しいと思いませんか?」「この流れに面白さがありますよね」と教えてくださるある種の感覚というか、先生の示す音楽の景色のほうがよっぽど大事なことのように感じる。
あぁなるほど確かに、と思うこともあれば、ピンとこないこともある。
自分がもう少し音楽に精通していたらもっとはっきり呼応できるのか、と自分の不甲斐なさにしんみりしたりもする。
けれど、いまはいろいろ吸収する時期、と割り切ってふむふむと聞きながら、教えの裏にあるこころもせっせとストックしている。