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損切り
損切りとはもともと株の世界の言葉だが、読書でいえば本を読むのを途中でやめてしまうこと。
私はつい最近まで損切りをしたことがなかった。
一度読み始めたら、どんなにつまらなくても、難しくても、これ以上読んでも何も得られないと思っても、必ず奥付まで読み切っていた。
やめない理由としては、もう少しいけば面白くなるかもしれないと期待するからであり、実際残り数十ページがとんでもなく面白い本もあるわけで、その期待がある限りやめられなかった。
あと、意味不明な理由としては、著者に失礼な気がしてやめられないとか。
途中でやめたかどうか著者にはわかりっこないのに、なにかとんでもない無礼な振る舞いのような気がして、最後まで読むのが礼儀と思っていた。
読み切ることが出会いを無駄にしないことになる、というよくわからない理屈もあった。
読むのをやめてしまうと、その本を選んだ自分が毀損されるような…そんな感覚。
最近になって、人生の残り時間を考えたときに、読んでよかったと思える本を読みたい、そのために無駄に時間を費やしたくない、と思うようになった。
なので、もう新しい本は読まなくてもいい、これまでに心に残った本を反芻していきたいと、新刊を手に取らない時期もあったのだけど、なんとなく、ふっと気づいたのだ、そっか最後まで読まなくていいんだ、って。
変なところでクソ真面目で頑固なので、途中で読むのをやめるなんてできなかった、というかそういう考えがなかった。
途中でやめる、という選択に気づいたからといって、そんなに思い切りよく損切りができるわけではない。
序盤がつまらない名作はいくらでもある。
でも、それも含めて「縁がなかった」と思うことにした。
つまらない、と感じたら読むのをやめる。
再び手に取ることもあるし、もう二度と開かないこともある。
それでもいいじゃないか、とやっと思えるようになった。
実際損切りしたのはいくらもない。
これは面白くなさそうと思いつつ読んでしまう。
面白くなくても読ませる勢いがあることもあるし、少しずつしか読めなくても最後まで連れていかれる力のある作品もある。
何が何でも最後まで読む、というのではなく、そのときの自分の気持ちに正直になる、ということがこれまでできなかったのだなぁ、と今更ながらわかったのだった。
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